2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳外傷のコミュニケーション障害の病態と談話機能検査開発に関する研究
Project/Area Number |
15500379
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
藤田 郁代 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (70285980)
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Keywords | 脳外傷 / コミュニケーション / 談話機能障害 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション / 検査 / 社会復帰 / 予後予測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳外傷患者の認知コミュニケーション機能の経時的変化とそれが患者の社会復帰に及ぼす影響の解明を進めると同時に、本機能を評価する検査として「脳外傷談話機能検査」の開発し完成化を図ることにある.具体的には、脳外傷患者23名の談話機能および認知機能を約半年〜2年間に渡って追跡評価し、社会復帰との関係を検討した.談話機能検査については健常者30名のデータを収集分析し、検査フォーマットの確定と検査の内的妥当性と有用性について検討した. 本研究で得られた結果は下記のとおりである. 1.脳外傷患者の認知コミュニケーション機能の経時的変化 機能回復が大きいのは、遂行、記憶、知能(指数)の各機能であり、談話機能の回復は小さい. 2.認知コミュニケーション機能が社会復帰に及ぼす影響 受傷2週間以内の遂行機能と記憶機能の成績およびその回復度が患者の社会復帰に関係し、知能指数は関係しない.また、談話機能のうち文脈を推測し事象間の関係を言語表現する機能が社会復帰に関係する. 3.「脳外傷談話機能検査」 健常者の結果分析から、検査項目および評価法について数点修正が必要なことが明らかとなり、それを修正し検査のフォーマットが完成した.また、健常者データを基に標準化作業の準備を行った.脳外傷患者のデータから本検査は患者の談話機能障害の特徴を評価し、社会復帰の予後予測を行ううえで妥当かつ有用であることが明らかとなった. 脳外傷患者のコミュニケーションの特徴は「ことばは話せるが、相手と解りあえない」ことにあり、その病態と認知機能との関係および社会復帰に及ぼす影響が解明された.また、このような機能を評価する検査の完成化が進み、今後、予後予測およびリハビリテーションに活用できることが確認された.
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Research Products
(2 results)