2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500386
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷 公隆 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80198704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宣成 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60306818)
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Keywords | 立位姿勢制御 / 随意運動 / 動作解析 / 神経遮断 / 運動学習 |
Research Abstract |
健常者の立位姿勢制御と随意運動の関係について、両足部内に重心を保持しながらgoal-postureに向けた姿勢調節を必要とするしゃがみ込み動作と、目的とする部位へ重心を変位させる必要のある着座動作に関して、体幹・下肢の表面筋電図、下肢の各関節の角度変化ならびに足圧中心の変位を解析することで検討した。両動作ともに、体幹筋の持続的筋活動の抑制によって起動されたが、着座動作では、腓腹筋の一過性の活動による足圧中心の前方変位が、身体に後方への運動モーメントを供給する画一的な運動制御が確認された。着座動作の反復は、足圧中心を前方に保持した状態で立位姿勢を制御し、椅子上への重心移動時に加わる後方への衝撃をやわらげるように学習された。一方、しゃがみ込み動作を開始するために立位姿勢の平衡を崩すには、前脛骨筋、腓腹筋のどちらの運動戦略を用いることも可能であり、反復による立位制御の変化は認められなかった。同様の結果が、爪先立ちとステップ動作においても確認された。以上の結果の一部をまとめた論文は、Experimental Brain Researchに掲載される予定である(in press)。 次に、右大腿部での阻血による神経遮断が着座動作を行うための立位姿勢制御におよぼす影響について検討した。阻血によって生じる神経遮断の経過を神経ならびに筋活動の変化を記録することで十分に解析したうえで、膝窩部での脛骨神経刺激によって腓腹筋から誘発されるH反射の消失をもって感覚神経遮断と判定した。右下肢の感覚神経遮断後の立位姿勢は、右足圧中心の後方変位によって制御され、着座動作における右腓腹筋の活動が著しく低下あるいは消失した。その結果、右下肢関節運動の開始が有意に遅延し、動作の反復による運動学習としての立位姿勢の機能的な適応は観察されなくなった。同様の姿勢制御の変化が、急性期の片麻痺患者においても確認された。
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