2003 Fiscal Year Annual Research Report
言語発達の臨床的指標に関する検討―ネットワーク上での診断の実用化に向けて
Project/Area Number |
15500395
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
東川 雅彦 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50257870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高巻 京子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40368105)
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Keywords | 言語発達 / 音響分析 / 口唇破裂音 |
Research Abstract |
平成15年度に予定した項目は、各種信号の入出力系統の整備、データ採取、音声分析機器の整備であったが、実際のデータ採取にまで進めることはできなかった。以下に今年度の研究進行状況をデータ採取にまで至らなかった理由を含め記載する。 1)各種信号の入出力系統の整備:機器の整備ならびに動作確認をおこなった。入力方法として当初はワイヤレスマイクの使用を目指したが、十分な音量が得られず、また送信器がかさばるために断念した。コードつきのマイクを使用して採取したテストサンプルが音声分析器(CSL4400)で十分に分析、評価の対象となりうる品質(音質)であることを確認した。 2)データ採取:データ採取に先立ち、適切な発達の指標となる基本タスクの選定に時間をかけた。標準化を掲げる以上は、被験児が発達の段階で必ず口にするあるいは誘導しやすいタスクであること、1歳から5歳にかけて日常で口にすることばであること、音響分析しやすいタスクであることなどを考慮する必要がある。さらには、方言の影響が生じにくいタスクであることも考慮する必要があると考えた。分析のし易さの面からは口唇破裂音の[p]、[b]、[m]を含むタスクが良いと考えた。最終的には定めてはいないが、候補としては「バイバイ」、「ママ」、「パパ」を挙げている。しかし1歳児においてはこれらのことばがサンプル数として十分に得られない恐れがあると思われ、さらに基本タスクになりうるものを(無意味語ではない)擬態語も含めて検討している。 3)音声分析器の整備ならびにデータの検討:テストサンプルのうち、将来の基本タスクの候補となる口唇破裂音の一つの単音節/pa/と/ba/について分析した。VOTやFormant transitionのほか、後続の母音部分のホルマント周波数、周波数帯域の分布についても分析しうることを確認した。このうち、母音部分の分析方法について、第48回日本音声言語医学会(つくば市)で口演した(題名:ささやき声における口唇破裂音の語音調節)。
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