2004 Fiscal Year Annual Research Report
視覚と体性感覚の相互作用が把握運動中の脳機能局在に及ぼす影響について:PET研究
Project/Area Number |
15500411
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 博 大阪大学, 健康体育部, 教授 (60161535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 直彦 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40346193)
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
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Keywords | 精密把握運動 / 視覚 / PET / 脳機能 / 体性感覚 / 相互作用 |
Research Abstract |
視覚誘導による小物体の精密把握持ち上げ運動と体性感覚誘導による同運動での脳賦活をポジトロン脳断層撮像法(PET)によって測定し、そこから、視覚と体性感覚との相互作用効果について検討した。被験者は22名の健常成人を用いた。彼らに、視覚あり(開眼)、視覚なし(閉眼)、視覚ありでのカーテン越し、物体と手の観察、閉眼安静の5条件についてのPETデータを収集した。データの分析はSPM99を使用し、賦活領域マップを作成した。その結果、視覚ありでは、安静に比べて、運動肢と反対側の1次運動野と1次感覚野、両側の補足運動野、同側の背側運動前野と帯状回、反対側の頭頂皮質(BA7)、下前頭前野(BA11)、同側の後頭皮質(BA18/17)に有意な賦活が認められた。皮質下組織では、小脳の虫様部と両側の半球部での賦活が認められた。一方、視覚なしから安静を引いた画像では、視覚ありでみられた領域に比べて、反対側の頭頂皮質(BA7)、下前頭前野(BA11)、同側の後頭皮質(BA18/17)での賦活は認められなかった。視覚ありとなしとの直接的な比較では、視覚あり条件でBA7と両側の後頭皮質(BA17、18、19)での賦活が有意となった。一方、逆の差分では、いづれの領域にも有意差は認められなかった。カーテン越しでの賦活データからは、BA18,19に加えてBA7と下頭頂皮質のBA40の活動が視覚あり条件に比べて低下するが、逆のカーテン場合は前頭前野(BA45/47)、BA17と19,側頭皮質(BA21)、大脳基底核でより高い活動が認められることが明らかとなった。これらは、視覚と体性感覚が脳活動部位に相互作用をもたらす結果を示唆するものであり、必要に応じて脳内では局所血流の配分が調節されていることを示すものである。
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Research Products
(5 results)