2005 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期の西ドイツにおけるスポーツ科教育の批判的検討
Project/Area Number |
15500414
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
木村 真知子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (60144630)
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Keywords | 冷戦 / スポーツ科教育 / スポーツ種目中心主義 / 技術主義 |
Research Abstract |
1.平成15年度および16年度に収集した資料に基づいて、冷戦期・西ドイツのスポーツ科教育の成立と展開を「冷戦」という社会構造と関連づけて分析し、以下のことを明らかにした。 東西のドイツが対立し、競技スポーツによる代理戦争=メダル獲得競争が盛んに行われたこの時代、競技スポーツ振興が大きな国家事業として位置づけられ、学校体育もその一環として、競技スポーツ振興の下請けを担わされた。政策的に、学校体育は重んじられ、教科名「体育科」が「スポーツ科」へと変更され、大学入学資格アビトゥアの科目に「スポーツ科」が参入することになり、授業時数も週3時間が保証されるなど、教科としての体育の地位はあがるが、その一方で、土着の民族スポーツをも含めた幅広い体育教材が次第に姿を消し、オリンピック種目が学校体育の中心になっていく。そしてそれらの種目の技能習得・記録向上が一番の目標にされ、技能主義的・競争主義的な体育が展開される。その結果、スポーツが不得意な子はどんどん振り落とされ、エリート養成的な体育授業となってしまう。 2.冷戦期のスポーツ科教育の特徴である「スポーツ種目中心主義」「技術主義」を相対化するために、今日のドイツにおける新しいスポーツ科教育の試みを調査した。 3.上記2の事例としてハイデルベルク大学"Ballschule"を取り上げ、日本体育学会第56回大会体育哲学専門分科会のキーノートレクチャー「Ballschule Heidelberg:スポーツ科学領域における大学と地域の連携プロジェクトモデル」とシンポジウム「スポーツにおける大学と地域の連携-その意味を問う-」を企画・実施した。 4.本科学研究費補助金による研究成果を研究成果報告書にまとめた。
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Research Products
(5 results)