2005 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツが人間の生の経験に対して持つ普遍的意味とその教育的価値に関する研究
Project/Area Number |
15500416
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑 孝幸 長崎大学, 教育学部, 助教授 (00156332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 正美 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50294393)
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Keywords | スポーツ / 体育 / 人間の生の経験 / 体育の本質 / 国際情報交換 / ドイツ |
Research Abstract |
学校教育の現場では「いじめ」「不登校」「非行」「学級崩壊」といった現象が、児童・生徒の学びを阻害し、「生きる力」を耕せない状況に彼らを陥らせてきた。こうした背景から現行の学習指導要領では、体育において「体ほぐし」の運動が登場し「心と体の密接な関連」が強調されたが、授業における具体的な実践の場面では、何をどのように指導すれば「心身の関連」という理念を実現できるのかという戸惑いもあった。また「心と体を一体として捉える」「自分や仲間の体や心の状態に気付く」という場合の「捉える」「気付く」ということに関する哲学的問題の検討も不充分なまま現在に至っている。そこで本研究では、「心と体」の問題が自己自身の存在への問いと不可分であるという認識に立ち、特に「人間にとってのスポーツの普遍的な意味とは何か」「『生きる力』を育む体育における教材としてのスポーツの教育的価値とは何か」ということを中心に考察することによって、体育が教材として用いるスポーツが人間の生の経験に対してどのような意味を持ち得るのかという哲学的な問題について検討してきた。3年計画の最終年である本年度は、前年度からの大学における授業実践における実証を続けることによって、スポーツにおける自己の達成は他者との連帯に発展する可能性を秘めているということを明らかにした。また「心身の関連」「心と体の捉え方」「自己や他者の心身の状態への気付き」など、「心と体」に関する問題の調査を中国とドイツにおいて行い、個人の達成の次元から捉えたスポーツの普遍的な意味や、体育において「体をほぐすこと」と「体への気付き」が人間の生の経験に対して持つ意義を、多少なりとも明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)