2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500419
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Research Institution | TSUDA CALLEGE |
Principal Investigator |
山口 順子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70055325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 卓郎 筑波大学, 体育科学系, 教授 (20134249)
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Keywords | 身体・スポーツ文化 / 東洋的身体 / 身体技法 / 内感的身体 / 身体教育観 / 経験の記述 / 大学体育目標 / 現象学的解釈 |
Research Abstract |
本研究の目的は、東西の身体・スポーツ文化にみられる身体観の差異を、身体観が生み出す身体的経験の語りに基づいて現象学的に解釈することである。本年度は、身体存在に対する3つの見方の特性を整理した。第1は、北米におけるボディワーク(イデオキネシスやアレキサンダーテクニーク)の身体観である。それは、「解剖学的な身体マップ」に沿って、生きて活動する主体の内観イメージを自己のからだに描くものであり、自己の身体を認識修正する上で有用な方法である。ここでの身体観は、その技法が東洋的な内観法に類似しているため、表面的には東洋的な身体観に近いように見られるが、静的に外から把握された解剖学的な意味での客観的身体像(観)に基づくという点で、東洋伝統の内観(感)的身体の対極に位置している。第2は、北米先住民の神話的身体観である。先住民の伝統的身体・スポーツに関する語りの事例から神話的・文化的身体観を抽出した。それは主体の深層の身体的世界を語り出したものである。この神話的身体観は、「癒し」の身体技法としての身体経験が、東西文化に通底する身体・スポーツ文化の原初的な形を提示するものとなり得る。第3に、東洋的身体技法から内感的身体観が抽出された。主体が生きて経験している身体の内側のあり方、さらには自然と繋がりを持って営みを行っている「からだ」を自然と共にそのままに感じ取る必要があるとする身体観が抽出された。 以上、3つの身体観の諸相とそれを内包している身体技法を教材とした体育が、特に大学体育においては有効であることを示すデータ(経験の記述)が抽出された。そこでは東洋的身体技法(気功)による身体感覚の変容と自己認識の深化が、顕著に認められた。こうした身体観に基づく身体技法の修得が、人間の存在論的な意味での拓きの可能性を示唆していることから、現在の大学体育目標を批判的に検討する必要性が示唆された。
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Research Products
(6 results)