2003 Fiscal Year Annual Research Report
カーブキックのメカニズムに関するスポーツ工学的研究
Project/Area Number |
15500424
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
浅井 武 山形大学, 教育学部, 助教授 (00167868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹瀬 雅史 山形大学, 教育学部, 助教授 (50250907)
瀬尾 和哉 山形大学, 教育学部, 助教授 (60292405)
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Keywords | サッカー / カーブ / インパクト / ボール |
Research Abstract |
今年度は、先ず、理論的に考察するため、フェイスベクトルとスイングベクトルを定義し、基礎的事項について分析した。フェースベクトルは、足部の接触面に垂直になるベクトル(法線方向)を示したものであり、スイングベクトルは接触面の運動方向ベクトルを示している。このフェイスベクトルとスイングベクトルのなす角度(迎え角)が0度の時は(同じ方向の時)、ボールに回転が発生しないが、迎え角が0度以外の時、接線方向の力が生じ、摩擦力によってボールの回転が起きることになる。また、ボールキック時のインパクトの場合、ボールの大変形を伴うことが多く、トータル力ベクトルがボールの中心を通らず、そのために発生したモーメントによって回転が生ずることがあると思われた。 次に実験結果によると、インパクト時のフェイスベクトルとスイングベクトルが異なった向きになっていることが観察された。ボール回転数の最小値は4.4回転であり、最大値は10.2回転であった。また、その平均値は7.8回転であった。その際の迎え角の最小値は21.9deg.、最大値は45.4deg.となっており、かなり広いレンジに渡っていた。また、平均値は35.4deg.であった。ボール回転数と迎え角との間の相関関係を検討してみたが、有意な相関はみられなかった。これらのことから、サッカーのインフロントカーブキックでは、蹴り足のフェイスベクトルとスイングベクトルとの間にある迎え角を作ることが、ボールに回転を発生させることの原因の一つになっていると考えられた。ただ、この迎え角の値はインパクト直前の一時期のものであり、実際のスイング軌道は一定の直線ではなく、複雑な3次元運動をしていると考えられるので、詳細は今後コンピュータシミュレーションを併用して検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 浅井武, 菅野博子, 高野聖子: "サッカーのインフロントカーブキックに関する基礎研究"日本機械学会スポーツ工学シンポジウム講演論文集. 2003. 97-100 (2003)
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[Publications] T.Asai, S.Takano, H.Murakami, K.Ikeda: "Development of a lower extremity skeletal model using the finite element method"Sports Dynamics -Discovery and Application. 1(1). 211-216 (2003)
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[Publications] 浅井武: "スポーツにおける高速ビデオカメラ(特集解説論文)"可視化情報. 23(89). 27-32 (2003)
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[Publications] 瀬尾和哉, 浅井武, 他2名: "回転及び無回転のサッカーボールに働く空気力"日本機械学会スポーツ工学シンポジウム講演論文集. 2003. 9-13 (2003)
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[Publications] 金達郎, 浅井武, 他: "飛翔中における野球ボールの回転数の変化"日本機械学会スポーツ工学シンポジウム講演論文集. 2003. 14-18 (2003)
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[Publications] 瀬尾和哉, 小林修, 浅井武: "サッカーボール表面のオイルフロー観察"可視化情報. (印刷中). (2004)