2004 Fiscal Year Annual Research Report
総合型地域スポーツクラブと住民ネットワークの変容に関する研究
Project/Area Number |
15500429
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 和雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60191152)
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Keywords | 総合型地域スポーツクラブ / 社会的ネットワーク / アソシエーション / 社会関係資本 |
Research Abstract |
平成12年「スポーツ振興基本計画」のなかでその全国展開が位置づけられた総合型地域スポーツクラブは、これまでのスポーツが抱えてきた問題や地域における生活課題を解決する糸口として位置づける必要がある。これまで地域スポーツでは、スポーツ振興による地域づくりやコミュニティの再生などが期待されてきたが、それはスポーツ振興がコミュニティ形成に発展する論拠がないまま、規範論として語られてきたにすぎない。本研究では、その論理を「中学校区という生活圏の中での多種目・多世代型のスポーツ活動が新しい住民ネットワークを形成する機能を持つ」という仮説に求めるものである。 本研究は、コミュニティ形成の機序との関連から、地域の中間集団形成と住民ネットワーク形成との関連に視点を当てて枠組みの検討を行い、クラブ会員に対するアンケートからその実態を探ることとした。コミュニティの捉え方は多様であるが、その内包は共同性を核とした地域集団(中間集団あるいはアソシエーション;社会的ネットワーク)の形成と繋がりに見ることができよう。また、このクラブは地域住民に各種のスポーツ環境を提供する機能を持つ表出的アソシエーションと見ることができるため、組織的にはビューロクラティックな特性とアソシエーションとしての特性の相克が見られる。調査からは、対象となったクラブでは相対的にビューロクラティックな特性は低かったものの、クラブの設立の背景にある地域特性とクラブの運営方法によってアソシエーションとしての特性に相違が見られた。スポーツ振興を目的とするスポーツ関係者を基盤としたクラブよりも、自治会の活動の一部として発達したクラブの方が相対的にアソシエーショナルであり、ここから既存の社会的ネットワークや住民間の信頼が社会に埋め込まれた状態という社会関係資本(social capital)が大きな影響をもつことが仮定された。
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Research Products
(1 results)