Research Abstract |
本研究では,エネルギー吸収の大きい素材上での動作では,リズム一定の連続跳躍において運動の周期性と跳躍高を一定に維持するために,動作中の筋活動量や関節の仕事量が増加し,下肢のスティフネスが影響を受けると仮説を立てている.そこでエネルギー吸収率の異なる素材としてゴルフボール反発試験から求めた反発度の異なる素材を用意し,素材の物理特性が下肢関節動作と筋活動に及ぼす影響について,素材敷設上での連続跳躍動作の動作解析,落錘式衝撃試験機と体育館床の弾力性測定装置による素材の評価を行って比較検討した。 健常男性8名を被験者として,床反力計の上にゴルフボール反発試験から求めた反発度の異なる4種類のゴム素材を敷設し,素材を敷設しない条件とあわせて5条件においてリズム一定の連続跳躍を実施させ,その際の画像による動作解析と筋電位計測による筋活動量の測定を行った。動作解析では,跳躍高,力積,関節トルク,関節角度変化量,関節の仕事量,スティフネスを算出した。また,落錘式衝撃試験から平均ヤング率,エネルギー吸収率を算出し,素材の物理特性を評価し,体育館床の弾力性測定から反発作用評価値,緩衝作用評価値,弾力性評価値を算出し,各条件の使用感を評価した。 結果は,素材の反発度と落錘式衝撃試験から求めたエネルギー吸収率は同様な傾向を示した。しかし,エネルギー吸収量の多い素材の時に足関節の仕事量が増加する傾向が見られたが,筋活動量,関節の仕事量,スティフネスは,素材の違いによる有意な差は認められなかった。 以上より,本研究では用いた素材の物理特性の違いでは,生体の適応調節系の作用が大きく,動作中の下肢に与える影響が小さかったことが考えられた。
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