2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋増量および再生における組織幹細胞の制御とスポーツ科学への応用
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15500453
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉岡 利忠 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50056933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 勝正(山下 勝正) 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70239961)
鈴木 孝夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60113809)
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Keywords | 骨格筋 / 肥大 / サテライト細胞 / シグナル伝達 / 熱刺激 / 機械的刺激 |
Research Abstract |
骨格筋は大きな可塑性を持つ組織であるが、その可塑性発現の分子機序の詳細は不明である。可塑性発現の分子機序の解明は、筋萎縮の抑制や筋肥大の促進、あるいは筋損傷の回復促進する手法の開発につながると考えられ、スポーツ科学はもちろんのことリハビリテーション領域においても重要な知見をもたらすと考えられる。骨格筋の可塑性制御の鍵を握るのは、骨格筋組織幹細胞と考えられる。この骨格筋組織幹細胞は、筋衛星細胞と呼ばれる将来骨格筋細胞になることを決定付けられている細胞と最近発見されたside population細胞(SP細胞)が、これらの細胞が、骨格筋の肥大や萎縮に伴う挙動およびその挙動を引き起こす刺激は明らかでない。そこで本研究では、1)骨格筋組織幹細胞とその動態の解明と、2)骨格筋組織幹細胞の活性を制御する因子の解明、を行うことを目的とする。本研究は3年計画で実施され、本年は1年目に当たる。本年度の検討項目は、骨格筋組織幹細胞の同定とその挙動、組織幹細胞の分化および骨格筋細胞の細胞周期を増殖期に移行させる因子を解明することとした。ラットを用いた免疫組織化学的検討により、筋衛星細胞を確認した。さらに、ラットに対して温熱刺激(41℃の温熱環境に60分間暴露)を負荷することで筋肥大が引き起こされた。この時、筋衛星細胞の増殖が確認された。したがって、温熱刺激は骨格筋組織幹細胞を制御するツールとなることが示唆された。また、ラットより骨髄幹細胞を採取し、機械的刺激(ストレッチ)を与えたが筋細胞への分化は認められなかった。以上より、少なくとも熱ストレスは骨格筋細胞の細胞周期を増殖期に移行させる因子であることが示され、今後は骨格筋組織幹細胞とその動態および骨格筋組織幹細胞の活性を制御する因子について検討を進める。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsumasa Goto: "Effects of heat stress, and mechanical stretch on protein expression in cultured skeletal muscle cells"Pflugers Archive European Journal of Physiology. 447・2. 247-253 (2003)
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[Publications] 本田雅則: "前十字靭帯断裂による大腿四頭筋におけるストレスタンパク質の発現"聖マリアンナ医科大学雑誌. 31・3. 107-113 (2003)
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[Publications] 小林哲士: "温熱ストレスによるラット骨格筋の肥大"聖マリアンナ医科大学雑誌. 31・3. 131-138 (2003)