2004 Fiscal Year Annual Research Report
疲労筋の収縮パフォーマンス低下は細胞内水動態の大きな変化を伴う:仮説の検証
Project/Area Number |
15500459
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20179675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬詰 良樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056990)
大野 哲生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30233224)
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30271315)
竹森 直 筑波大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70188225)
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Keywords | 筋疲労 / 骨格筋 / 水 / NMR / 分子動力学 |
Research Abstract |
カエル縫工筋の繰り返しの経神経刺激によって観測された収縮に伴う筋細胞内水のNMR横緩和遅延が、ラット足底虫様筋を繰り返し直接刺激することによっても同様に起こった。このことから、この水動態変化がヒトを含む哺乳類にも適用できる可能性が高い。この水動態変化の実態を探るために、筋原線維を使って細胞外の水成分を調べた。筋原線維表面からずっと離れた水がバルクの水とは明らかに異なった。この束縛された水の割合と筋原線維濃度の関係が示す温度依存性から、この束縛性の遠達性相互作用は疎水性相互作用と推定された。 この束縛と筋原線維の遠沈限界との相関から当該束縛力が水の物理性状に影響することが示唆されたので、筋線維標本にBTSとBDMを使って誘導した疲労筋モデルで調べたところ収縮張力から乖離したスチフネス成分が認められた。疲労に伴って観測された水動態変化にこの硬い水が寄与していると考えられる。一方細胞内の水成分の活性を蒸気圧法と浸透圧法で調べ、緩和経過の違いで識別される水成分の細胞内局在を推定した。 収縮に伴ってCPMG法で見えるようになるきわめて緩和の速い成分は筋タンパク近傍にあると考えられたことから、筋細胞内環境モデルを小・中分子量炭化水素分子の水溶液として試験管内に作り、分子動力学法を用いて計算機上で疲労に伴う水動態変化の分子メカニズムを検討した。その結果をもとに疲労筋に起こる水動態変化を推定し、人体にも適用可能な高感度の筋疲労検出法を考案した。すなわち収縮張力との相関から筋細胞内の疲労と直接的かかわりが少ないと判定された細胞外液成分を緩和の遅い成分としてMRI画像から引き、緩和の速い成分だけを描出するようにすれば、CPMG法で観測可能な水成分の増大として筋疲労を高感度で検出できるはずである。
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