2006 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツに関するNPOの成立とスポーツ「場」の構造変動に関する社会学的研究
Project/Area Number |
15500461
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松尾 哲矢 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (00190413)
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Keywords | NPO / 場 / 需要-供給 / 相対的自律性 / 再生産戦略 / 象徴闘争 / 構造変動 / スポーツ |
Research Abstract |
本研究では、スポーツに関するNPOに着目し、わが国のNPOの成立過程を踏まえて、その成立過程を明らかにするとともに、スポーツ界の構造変動の社会的条件とそれぞれの下位「場」の再生産戦略と象徴闘争を視座に入れつつ、スポーツに関するNPOを機軸としてスポーツ「場」全体の構造変動を総合的にとらえることで、我が国のスポーツに関する文化的再生産の様相とそのダイナミズム、スポーツに関するNPOを中心としたボランタリーセクションの可能性と今後の方向性に関して総合的に検討することを目的として研究を進めこととし、この目的の達成のために以下の下位目的を設定して研究を進めた。 1)スポーツに関するNPOの成立とスポーツ「場」の構造変動に関する歴史社会学的調査(調査:1) 本調査では、わが国におけるNPOの成立の社会的条件を踏まえつつ、スポーツに関するNPOの成立をめぐる社会的条件に関する需要一供給アプローチに力点をおいて研究を進めた。近年、急増しているスポーツNPO法人は2000法人を超えており、これは日本の「小さな政府」と構造改革、規制緩和の流れと期を一にしているがこの点について公共性論に基づいて検討した。さらにスポーツの「場」に着目し(財)日本体育協会、(財)日本レクリエーション協会の成立とスポーツNPO法人の関係性、総合型地域スポーツクラブの増加とNPO法人化の問題、指定管理者制度における行政とスポーツNPO法人の関係性の変容等から、スポーツ「場」の構造変動について主にブルデューの議論を下敷きにしつつスポーツ界におけるスポーツNPOの成立の相対的自律性と正当性の獲得に関して歴史社会学的に検討した。 2)スポーツに関するNPOの設立、活動状況、再生産戦略に関する調査について(調査:2) 本調査に関しては、わが国のスポーツに関するNPO法人の活動状況、成立基盤、再生産戦略等の諸相に関する調査項目を設定し400団体を対象としてアンケート調査を実施した。主な項目としては(1)社会的属性および団体内での役割、(2)所属団体の基本的特徴、(3)所属団体の教育戦略、対人戦略、象徴戦略、物的・財政的戦略などにみる再生産戦略、(4)所属団体と他の団体との関係性、(5)今後の活動展開の方向性等であった。50名以下の社員(正会員)の法人が多く、法人格を取得以前から任意団体と活動していた団体が大半であり、年間収入1000万未満の法人が多い。会費収入と事業収入によって運営している団体が多く、他の団体との関係性、自らの団体の今後の方向性と展開についてさまざまな葛藤と困難を抱えている団体が多い等が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)