2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚弱・要介護高齢者に対する新しい「パワーリハビリテーション」戦略
Project/Area Number |
15500487
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
中山 彰一 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (60325983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 章仁 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (40315726)
細田 多穂 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (90315721)
竹内 孝仁 日本医科大学, リハビリ科, 教授 (80014249)
伊藤 隆夫 初台リハビリテーション病院, リハビリ部, 部長(研究職)
山口 和之 総合南東北病院, リハビリ科, 部長(研究職)
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Keywords | 虚弱高齢者 / 介護予防・軽減 / 自立支援 / パワーリハビリテーション / 高齢者用筋力トレーニングマシン / 運動能力改善 / 行動変容 / 介護費用節減 |
Research Abstract |
1.【目的】:介護を要する虚弱及び車椅子生活レベルの高齢者に対する新しいパワーリハビリテーション手法(高齢者用筋力トレーニングマシンによる上肢・下肢・体幹筋力強化)の効果を身体機能評価と生活移動能力、介護度と介護保険費用の節減効果の面より検証した。 2.【対象】:車椅子生活の施設入所者33名(男性7名・女性26名、平均年齢79.3+7.1)である。 疾患名はCVA、化膿性脊椎炎、変形性膝関節症、大腿骨頚部骨折、パーキンソン病等である。 3.【方法】:高齢者用筋力トレーニングマシン6機種(上肢・下肢・体幹用各2機種)を週2回、60〜90分間の準備体操・マシントレニング・整理体操を12週間実施。筋負荷量設定はBorg指数の楽であるを標準とした。 4.【評価】:身体能力テスト(握力、ファンクショナルリーチ、開眼片足立ち、Timed Up & Go)、日常生活動作テスト(Barthel Index)、生活移動レベル変化、介護費用節減変化を開始前・終了後にて比較した。 5.【結果】:身体能力テスト全項目と日常生活動作テストに有意な改善を認めた(p<0.05)。生活移動レベルは開始前は全例車椅子が終了後には独歩7例(21.2%)、杖歩行19例(57.6%)、不変7例(21.2%)と著名なる改善を認めた。介護度変化は要介護Iの12例が自立2例、要支援6例、不変4例と改善率66.7%に、要介護IIの8例が自立1例、要介護I6例、不変1例と改善率85.5%に、要介護IIIの7例が要支援1例、要介護I2例、要介護II2例、不変2例と改善率71.4%に、要介護IVの6例が要介護I1例、要介護II3例、要介護III1例、不変1例へと改善率83.3%と驚異的な介護度改善率を認めた。介護保険費用の変化では給付限度額利用時の月額費用が、開始前931.2万円であったのが終了後では445万円と月間で486万円、一人当たり14.7万円の費用節減が見られ医療経済面での絶大なる効果を認めた。 6.【考察】近年、虚弱・要介護高齢者の介護軽減、自立支援対策は国家的命題と言っても過言ではない。今回従来のリハビリ手法に比し、新しい高齢者用筋力マシンを応用したパワーリハビリテーションの12週間終了後に、全例車椅子レベルから介護度の著しい改善と介護費用の大幅な節減に寄与できることが示された。
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