2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス防禦機構よりみた運動療法による動脈硬化予防の機序に関する研究
Project/Area Number |
15500500
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
池田 正春 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40078770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雅規 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (70341526)
南里 宏樹 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80150415)
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Keywords | 酸化ストレス / 運動 / 過酸化脂質 / TBARS / 8-ヒドロキシグアニン |
Research Abstract |
本年度は軽強度の運動が生体に対し、酸化ストレスを来たすか否かについて研究を進めた。 (1)運動がDNAの酸化的障害に及ぼす効果について:DNA酸化的障害の指標として8-ヒドロキシグアニン(8-OHdG)および、その修復酵素であるhMTH1のmRNAを測定し運動と酸化的DNA損傷の関係につき、検討した。 20才代男性を対象として、日常の運動習慣の有無により、運動習慣群と非運動習慣群に分け検討した。 その結果、非運動習慣群では8-OH-dGの基礎値は、運動習慣群より著しく高かったが、30分の軽強度の運動後に非運動習慣群の8-OH-dGレベルは有意に減少した。非運動習慣群のhMTH1 mRNAレベルは、運動習慣群より有意に低かったが、軽強度の急性運動後に著しく増加した。以上の結果から、修復酵素であるhMTH1システムが運動により誘導され、8-OH-dGを低レベルに維持することから、軽強度の運動が細胞障害の予防に寄与する可能性が示唆される。 (2)運動が脂質過酸化に及ぼす影響:高血圧、高脂血症、肥満などの心血管危険因子を有する非喫煙の地域住民33名(男性10名、女性23名)を対象として軽強度の有酸素運動を12週間指導し、脂質の過酸化への影響を調べた。酸化ストレスとその防御系の指標として血漿中TBARSと血中の抗酸化酵素EC-SODを測定した。指導前の基礎値については血漿中TBARSに寄与する因子として全体では年齢と平均血圧、男性では年齢とEC-SOD、女性ではBMIの関与が示唆された。介入・指導によってBMI、血圧、脂質代謝異常の是正がみられたが、血漿中TBARSの低下など酸化ストレスの軽減も認めた。なお、酸化ストレスの軽減には全体では平均血圧の低下と脂質代謝の改善、男性では脂質代謝の改善、女性では平均血圧と運動指導への参加回数の関与が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Shibata, E.: "Enhancement of Mitochondria Oxidative Stress and Up-regulation of Antioxidant Protein Peroxiredoxin III/SP-22 in the Mitochondria of Human Pre-eclamptic Placentae"Placentae. 1-8 (2003)
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[Publications] 太田 雅規: "運動が血圧変動性ならびに臓器障害に及ぼす影響"血圧. 10・11. 1205-1210 (2003)
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[Publications] 太田 雅規: "企業フィットネスにおけるトピックス:高齢者と企業フィットネス"臨床スポーツ医学. 20・5. 549-554 (2003)
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[Publications] Ohtomo, K: "Immunohistochemical study of the carotid body during acute hypoxia"Adv Exp Med Biol. 536. 109-116 (2003)
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[Publications] Nanri, H.: "Involvement of thioredoxin-related antioxidant systems in the defense of cadmium-induced oxidative systems."J.UOEH. 25・suppl. 71-80 (2003)
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[Publications] Sato, Y.: "Increase of human MTH1 and decrease of 8-hydroxydeoxyguanosine in leukocyte DNA by acute and chronic exercise in healthy male subjects."Biochemical and Biophysical Research Communications. 305・2. 333-338 (2003)
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[Publications] 太田 雅規: "生活習慣修正指導の酸化ストレスに対する効果と日常生活活動量の関与について"研究助成論文集. 19. 43-50 (2003)
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[Publications] 奥藤 達哉: "生活習慣の修正-その効果と限界 身体活動"血圧. 11・2. 34-38 (2004)