2003 Fiscal Year Annual Research Report
ポリカルボン酸を用いたDP加工によるセルロース系織物の汚染性・洗浄性の変化
Project/Area Number |
15500506
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
谷田貝 麻美子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (20200595)
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Keywords | 繊維加工 / DP加工 / セルロース / 汚染 / 洗浄 / 酸化鉄 |
Research Abstract |
近年、セルロース系織物の防しわ・防縮・形態安定を目的とするDP(Durable Press)加工において、従来のホルムアルデヒドの代替としてポリカルボン酸を架橋剤に用いることが検討されている。本研究の目的は、ポリカルボン酸DP加工布の消費性能のうち、衣服管理において重要な、日常生活で発生する汚れの付着しやすさと家庭洗濯による汚れの除去されやすさについて検討することである。今年度はまず、ポリカルボン酸DP加工布の作成を行った。DP加工は、ポリカルボン酸として1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸(BTCA)またはクエン酸(CA)と触媒を含む処理液に綿、麻、リヨセル布を浸漬し、高温でキュアリングすることにより行い、加工条件(架橋剤の種類と濃度、触媒添加量、キュアリング温度)を変えて加工効果の異なる布を作成した。加工布と未加工布について物理的・化学的諸性質を測定し比較したところ、防しわ性は総じてBTCA加工布の方がCA加工布よりも大きく、水分率、黄変の程度、エステル架橋量、未反応カルボキシル基量は、繊維の種類や加工条件により異なる結果が得られた。次に加工布と未加工布について、代表的な固体粒子汚れである酸化鉄を用いて汚染性・洗浄性を調べた。酸化鉄の付着や除去の程度は、布の反射率を測定して評価した。酸化鉄分散浴中で布を振盪する方法で汚染したところ、綿では、加工布は未加工布よりも汚染されやすく、とくにCA加工布でその傾向が顕著であった。麻、リヨセルでは汚染性に及ぼす加工の影響は明瞭でなかった。綿の加工布と未加工布を酸化鉄で同程度に汚染し洗浄したところ、洗浄条件によって加工布と未加工布の洗浄性の傾向は変化した。現在は、代表的な油性汚れである脂肪酸を用いて同様に汚染性・洗浄性を調べるため、予備実験を行い実験条件の設定を進めている。
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