2005 Fiscal Year Annual Research Report
衣類の溶剤洗浄を水系へ転換するための水系超音波洗浄シスムの構築
Project/Area Number |
15500509
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
多賀谷 久子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70024932)
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Keywords | 超音波洗浄 / 水 / ポリエステル布 / 油性汚れ / 音圧 / 溶存酸素濃度 / キャビテーション / 界面活性剤 |
Research Abstract |
溶剤による衣類の洗浄(ドライクリーニング)を水系に替えていくことが緊急的課題となっている。衣類の溶剤洗浄を水系に転換することを目的として、布の洗浄のための水系超音波洗浄装置を試作し、超音波の特性と洗浄性能について各種汚染布を用いて研究し、基礎的研究をほぼ終えた。その結果、水系でも、超音波特性を有効に応用すれば、布に負荷を与えることなく、高い洗浄効果を期待できることがわかった。水系超音波洗浄を衣類へ応用していくためには、繊維、洗浄媒体である水、および洗剤に対する超音波特性の的確な知見を得て、最適な水系超音波洗浄システムを構築することが必要であることがわかった。一般に除去が困難とされる「皮脂汚れ」については、洗剤の不在系で、超音波の直進流、音圧、キャビテーション現象によってどのように除去されるかを解明した。基質のセルロース系繊維に付着した皮脂汚れの除去は比較的容易であった。一方、ポリエステル繊維に付着した皮脂汚れや着色油性汚れの除去は困難であった。そこで、洗剤を含む系で、ポリエステル繊維に付着した皮脂汚れや着色油性汚れ除去を中心に検討した。さらに、超音波によって発生するキャビテーションが洗剤の主要成分である界面活性剤の構造に及ぼす影響について、ガスクロマトグラフィー、その他の機器分析を用いて詳しく検討した。非イオン界面活性剤のある種のものでは、超音波を照射することにより、油性汚れを可溶化しやすい構造に変化してポリエステル繊維に付着した油性汚れの洗浄効率を増加させることがわかった。これらの現象は溶存気体の影響を強く受けることもわかった。最後に、今年度までに得られた基礎的データーをまとめ、繊維、汚れ、水、および洗剤の最適な水系超音波洗浄システムを考察した。
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