2005 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚に優しい衣服のための基礎研究-培養皮膚を用いた衣服の安全性確認-
Project/Area Number |
15500512
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
内田 恵美子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10086019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筏 義人 鈴鹿医療科学大學, 医用工学部, 教授 (00025909)
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Keywords | 被服の安全性 / 三次元皮膚モデル / 皮膚刺激物質 / 接触皮膚障害 / 安全性確認手法 |
Research Abstract |
細胞培養技術の進歩によって作り出された正常ヒト細胞を用いた3次元培養皮膚モデルを用いて、(1)衣料品に関わる接触皮膚障害原因物質のヒト皮膚への反応に関する詳細なデータの蓄積を計り、(2)皮膚刺激性物質と皮膚障害の関係を明らかすることで、衣料における安全性確認の手法を確立することを目的として研究を行ってきた。 平成17年1月に培養皮膚を用いた皮膚一次刺激性試験法のJIS化が漸く制定された。その方法は綿布を基準布としてラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を試験の成立基準としている。しかし、皮膚への影響は布からどれだけ薬剤が移行したかに係り、その移行具合で結果は大きく異なる。そこで、今年度は衣類に使われる各種界面活性剤(陰イオン、陽イオン、非イオン)を直接細胞に接種することで、この薬剤自体の安全性の基準を作り、その上で、JISの皮膚一次刺激性試験法に則って、薬剤を吸着させた布の安全性を検討した。繊維も綿だけでなく、ポリエステルや毛についても検討した。 その結果、安全性が高いといわれている天然油脂から作られる脂肪酸塩やポリエチレングリコール誘導体(非イオン)においてもその構造式によって安全性は大きく異なり、C数が小さいほど細胞生存率が減少することがわかった。カチオン性界面活性剤はいずれも細胞生存率は低く、特に、抗菌を謳っている柔軟剤の多くがカチオン性であり、細胞生存率が小さかった。繊維では綿>ポリエステル【greater than or equal】毛の順に細胞生存率は低下しており、薬剤の皮膚への移行量が多い。特に最近よく使われている衣服に直接吹き付けるタイプの消臭剤での細胞生存率はきわめて低くなった。これは、洗浄剤の場合と異なり、すすぎ工程がなく、布への吸着量がそのまま皮膚に影響するためと考えられる。また、布でのドライ溶剤についても検討したが、添加汗液の成分に工夫が必要であると思われる。
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Research Products
(3 results)