2004 Fiscal Year Annual Research Report
生活経済からみた少子高齢社会の諸課題の研究:生涯家計モデルのシミュレーションから
Project/Area Number |
15500528
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Research Institution | Utsunomiya Junior College |
Principal Investigator |
中川 英子 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 教授 (70352573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草野 篤子 信州大学, 教育学部, 教授 (00180034)
高橋 桂子 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (50311668)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (60241197)
田崎 裕美 静岡福祉情報短期大学, 介護福祉学科, 講師 (70352854)
増田 啓子 富士常葉大学, 附属環境防災研究所, 研究員 (20387533)
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Keywords | 生涯生計費 / シュミレーション / ライフコース / 子育て費用 / 住宅費用 / 高齢期の住まい方 / 生殖補助医療 / 無償労働 |
Research Abstract |
【研究目的】本研究の目的は、少子高齢社会に予測される多様なライフコースの選択肢を生活経済の観点から提示し、その課題を明らかにすることにある。具体的には、ライフコース別の生涯家計シミュレーションから算出した推計値を選択肢の根拠として採用した。 【研究方法】設定した8つのライフコース(後述)の生涯家計のシミュレーションから、ライフコース別の生涯収支残高を算出した。また、「生殖補助医療(ART:不妊治療)」による妊娠費用や「無償労働」による遺失利益についても推計した。 【研究結果】1.大卒者の生涯収入を8つのライフコース別に指数(大卒:男性単身世帯=100)で示すと、1)(1)単身世帯(男):(2)単身世帯(女):(3)単親世帯(男):(4)単親世帯(女):(5)片働き夫婦・子ども世帯:(6)共働き・子供世帯:(7)共働き夫婦のみ世帯:(8)再就職世帯=(1)100:(2)90:(3)101:(4)91:(5)107:(6)192:(7)190:(8)110となった。また、2)(2)単親世帯(女)と(6)共働き・子供世帯では、2倍以上の格差がみられた。2.生涯支出では、1)世帯主29歳〜64歳までの収支残高で、単身世帯(女)とDINKS世帯で24:209と最大の格差を示した。さらに2)生涯収支残高では、単親(女)・再就職・専業主婦コースで(昇順)老後生活の場を選択する余地のないことがわかった。一方、(3)1)「生殖補助医療」による妊娠費用は、250〜380万円、生涯賃金と機会費用から算出した遺失利益は、生涯収入に対して両立コース8.4%、再就職コース81.9%、専業主婦コース89.9%になった。また2)「無償労働」の推計では、専業主婦コースが最高額で6億5、000万円近くにもなることが明らかになった。以上の結果からは、単身より夫婦、片働きより共働き、子どもがいないよりいる世帯の方が生涯に渡りより豊かな生活が望めることになる。少子化が進む中で、女性が生涯働き続き続けるための諸条件の整備、子どもを望む夫婦への生殖補助医療費への施策の必要性等が考えられた。以上
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Research Products
(2 results)