2003 Fiscal Year Annual Research Report
三重県産なれずしの微生物相および分離乳酸菌の機能性に関する研究
Project/Area Number |
15500536
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
成田 美代 三重大学, 教育学部, 教授 (70021384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 宏樹 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30346001)
磯部 由香 三重大学, 教育学部, 助教授 (80218544)
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Keywords | なれずし / さんまずし / 微生物相 / 乳酸菌 |
Research Abstract |
今年度は、さんまずしの熟成に関与する微生物について、乳酸菌を中心として分離同定した。生菌数を測定したところ、乳酸菌分離用GYP培地では、魚肉部で8.9×10^8個/g、米飯部で1.8×10^8個/gであった。さんまずしから分離された乳酸菌について、分子生物学的手法を用いて同定したところ、Lactobacillus sakei、Leuconostoc lactis、Lactococcus lactisの3種であった。また、さんまずしの発酵に関わる主な乳酸菌はLb.sakeiであると考えられた。一般細菌は、Staphylococcus epidermidis、Citrobacter freundii、Hafnia alvei、Rahnella aquatilis、Obesumbacterium proteusが分離された。 次に、熟成前後の一般成分の変化について検討を行った。水分量は、熟成後にいずれも100gあたり10g程度増加した。これは、塩漬けにより脱水されていた魚肉に、硬めの粥状である飯からの水分が移行して増加したものと思われる。また、飯部分は、熟成前後で水分量に大きな差は見らなかった。塩漬けの状態での灰分量は、100gあたり15g前後であった。大部分は塩漬けのNaによるものである。漬け込み前の塩出しにより、塩分が除かれるため、熟成後の魚肉部の灰分量は1〜2gに減少した。飯の灰分は、いずれも熟成後に増加しており、これは、魚肉部分の塩分が飯に移行したものである。タンパク質は実重量でみると、減少しているが、乾燥重量あたりに換算すると、熟成前後での差はほとんどなかった。熟成期間が短かったために、タンパク質の分解まで至らなかったものと思われる。魚肉中の総アミノ酸量は、いずれも熟成前の塩漬け魚よりも減少した。飯部分の総アミノ酸量が、熟成後に増加していることから、魚肉から飯へのアミノ酸の移行があったものと考えられる。ATP関連物質のほとんどが、ヒポキサンチンまで分解していた。このことから、なれずしのうま味にはイノシン酸は関与していないことが明らかとなった。また、魚の鮮度指標である揮発性塩基窒素を測定したところ、10mg%から15mg%へと有意に増加したが、食品衛生上問題のある数値ではなかった。
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