2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル類の新規な抗酸化機構の解明とその食生活へ及ぼす影響
Project/Area Number |
15500543
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
幡手 英雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (10325730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 助教授 (80235506)
|
Keywords | 海藻 / 抗酸化 / クロロフィル |
Research Abstract |
資源量が豊富で食品素材としての安全性も高い海藻の抗酸化機能ついて調べ、光合成色素であるクロロフィルのその機能への関与を研究した。本年度の研究では、沿岸域で採取した17種の海藻を実験に供し、有用海藻種やその抗酸化成分の探索を行った。まず海藻から水溶性成分および脂溶性成分を抽出し、それらの脂質自動酸化抑制力を比較・検討した。その結果、エンドウモクを初めとして褐藻類は一般に、緑藻や紅藻よりも強い活性を示した。緑藻は脂溶性成分で比較的強い抗酸化性を、ショウジョウケノリを除く紅藻には有意な活性は認められなかった。次に、これらの脂溶性成分をTLC法で分離し、パプリカ色素の脱色抑制力を利用した簡便な検出法で抗酸化成分を探索した。その結果、海藻由来の脂溶性成分はTLCプレートで多数のスポットに分離され、そのなかには抗酸化成分であるαトコフェロールも存在していた。しかしながら、エンドウモクとショウジョウケノリの抗酸化成分の主体は臭素化合物であること、また、緑藻類の脂溶性成分の抗酸化性は主としてクロロフィリ類に起因していたことが推察された。一方、海藻に含まれるカロチノイド類に関しては明瞭な抗酸化効果は確認できなかった。以上のように海藻には様々な抗酸化成分が存在するが、植物に普遍的に存在するクロロフィル類に有意な抗酸化力が確認された。次年度以降はこのクロロフィル類に焦点を絞った海藻の抗酸化機能を研究する予定である。
|