2004 Fiscal Year Annual Research Report
イソフラボン代謝産物の産生能に関わる因子と疾病予防効果に関する研究
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15500555
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (20211071)
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Keywords | イソフラボン / equol(エクオール) / daidzein(ダイゼイン) / O-desmethylangolensin(O-DMA) / フラクトオリゴ糖 / 腸内細菌叢 / Selective Estrogen Receptor Modulator(SERM) / 骨量減少 |
Research Abstract |
【目的】難消化性糖質であるフラクトオリゴ糖(FOS)が、生体内で大豆イソフラボン配糖体の糖鎖の切断および吸収後の腸肝循環を促進することを既報にて示唆したが、その代謝産物の動態については未試験であった。equolはdaidzeinの生体内代謝産物であり、daidzeinよりもエストロゲン様作用が強く、天然のSelective Estrogen Receptor Modulator(SERM)である可能性が高い。そこで昨年度は、2週間のイソフラボン配糖体とFOS併用摂取によりequol産生能が変化するかを検討したが、イソフラボン配糖体単独摂取群との間に明確な差は現れなかった。そこで、本年度ではイソフラボン配糖体胃内単回投与後のequolの血中および尿中経時変化が、FOS摂取により変動するか否かを、もう一つの代謝産物であるO-desmethylangolensin(O-DMA)の変化と共に検討した。また、卵巣摘出(OVX)マウス用いてequolを皮下投与(0.5mg/kg体重/日)し、equolの骨に対する直接的な影響を検討した。【方法】被験動物として初体重220g前後のSD系雄ラットを2群に分け、AIN-93G飼料もしくはAIN-93G+5%FOS添加食を投与した。その2日後に中心静脈カテーテル留置手術を行い、更に3日後、イソフラボン配糖体(100mg/kg体重)を胃内単回投与し、1、3、6、12、24、48、72時間後に無麻酔・無拘束下で中心静脈より採血を行った。また、投与後0-24、24-48、48-72時間の尿も採取した。血清中および尿中equolおよびO-DMAは時間分解蛍光免疫法(TR-FIA)により測定を行った。OVXマウスについてはequol投与、非投与、エストラジオール(E2)投与の各群を設け、偽施術(Sham)群との比較検討を行った。【結果・考察】対照群の血清中equolは24時間後にピークとなり、その後減衰したが、FOS摂取群では、12時間後から上昇を開始し、24時間後のピーク時では対照群との差が有意となった。さらに48、72時間後においても濃度の減少率は対照群に比し緩やかであった。また、血中経時変化の曲線下面積による吸収量の12-72時間後の値でもFOS摂取によりequolは増加した。尿中では48-72時間後のequol濃度がFOS摂取により増加傾向を示した。血清中O-DMAは対照群で12時間後から上昇がみられ、24時間後にピークとなり、その後減衰したが、FOS摂取による上昇はみられず、吸収量や尿中でもその結果を反映した。以上の結果から、胃内単回投与により体内に吸収されたdaidzeinは、FOS摂取により、そのほとんどがequolに転換されることが示唆された。一般的にequolとO-DMAでは、その産生菌が異なるといわれていることから、FOS摂取下ではO-DMAよりもequolの産生菌が増加することが予測されるが、今後の検討が必要とされる。また、equolは子宮重量を増加させることなく、OVXマウス大腿骨の骨量減少に対して直接的にSERM様な抑制効果を示すことが確認された。
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Research Products
(3 results)