2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児における主要卵白アレルゲンの腸管粘膜における吸収動態に関する研究
Project/Area Number |
15500570
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
高橋 享子 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 助教授 (50175428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 真須美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Keywords | 食物アレルギー / 卵白アレルゲン / 免疫寛容 / オボムコイド / 腸管粘膜 / IgE / IgA / sIgA |
Research Abstract |
食物アレルギーにおける腸管粘膜の免疫機構および生体反応を抑制する経口免疫寛容について検討することを目的とした。アレルギーモデルラット(Brown Norway)をもちいて卵白抗原の投与による血漿中のIgA,IgE,卵白アレルゲン・オボムコイド特異IgE抗体産生,糞中のsIgA抗体産生の追跡を行った。また、アレルギーモデルラット腸管粘膜における卵白アレルゲンの透過性と腸管粘膜組織の形態変化について検討した。 【結果】IgA,sIgA,総IgE抗体産生は非投与群と投与群において有意差は認められなかった。しかし、オボムコイド特異IgE抗体の産生は、投与開始3週目から有意に低下した。その後、卵白投与を行っているにも関わらずIgE抗体産生量が有意に低下し、経口投与による免疫寛容が確認された。さらに、腸管粘膜の卵白アレルゲンの透過性は、投与2週目において非投与群に対して投与群は顕著なアレルゲンの透過が認められたが、免疫寛容の時期と一致してアレルゲンの通過性が抑制された。従って、免疫寛容はアレルゲンの透過性を抑制し、粘膜バリアーが生じたものと考えられた。しかし、免疫寛容が生じたラットの腸は、パイエル板の活性が顕著に見られ、HE染色より絨毛組織の崩壊やゴブレット細胞の崩壊が確認され、好酸球の増加も認められた。また、AB染色より非投与群と比べ投与群のラット腸粘膜においてマスト細胞数が有意に増加していることを確認した。従って、免疫寛容が生じたアレルギーラットにおいて、粘膜のバリアー性と組織の崩壊やマスト細胞の増加との関連性やアレルギー抑制と腸管粘膜組織の回復との関連性などの検討が必然である。次年度はこれらの関連性を検討するため、乳幼児の食物アレルギー発症を推定したモデルラットを作製し、そのラットにおける免疫寛容と腸管粘膜の免疫機構について検討する。
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