2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500584
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石田 博幸 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30024003)
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Keywords | 環境教育 / タイ王国 / 国際比較 / 向社会性行動 / 環境行動 / アンケート調査 |
Research Abstract |
本研究は、今まで、タイと日本の小・中学校の生徒の環境意識調査をして来ており、一見異なって見える環境意識も環境保全行動も、自然環境や社会環境によって、評価を変えるべきであることを明らかにしてきた。そして、環境意識と向社会的行動との関連性へと調査は続いてきた。結果は、向社会性行動と環境行動には、弱いながらも正の相関があることが証明された。ただ、タイの学校での環境教育の成果が出ている一面、教育で受けた知識と実際の行動の間に違いが出てきたように思われる。教育の成果が現実の行動に及ぶようになるまで、まだ、時間がかかるように思われた。 今年度は最終年度として、まとめのシンポジウムを開く予定であったが、当県で開催された愛・地球博は、環境万博と呼ばれており、環境問題解決には重要であると考え、タイ人共同研究者を招聘し、世界の環境問題を研究させることとした。その成果は、共同研究者を通じてタイの環境教育に大きく寄与するものである。視察結果は報告集として発刊される。 さらに、2004年末に起きたスマトラ沖の地震・津波は、タイの児童・生徒の環境意識に大きな影響があったと思われたので、急遽、調査を計画・実施した。タイは、今まで地震や火山がなく、そのため、安定した宗教観が作られていたと思われていた。調査は、現地(プーケット)の子どもたちと、遠隔地(北部タイ)の比較という形で行われ、結果は、予想に反し、タイの児童・生徒は、その甚大な被害にもかかわらず、宗教と科学に対する信頼を維持し、逆に、信頼を深めているということとなった。調査は、地震後半年を経過して行われたため、世界各国からの救援や科学鑑識が科学への信頼を増したと思われる。宗教心が薄く、なおかつ、科学への信頼が薄れてきている日本の子どもたちと比較し、注目すべき結果であり、今後、学界や社会へ発表して行く所存である。
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Research Products
(5 results)