2004 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒の時間概念がグラフ認知過程におよぼす影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
15500595
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
土田 理 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (10217325)
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Keywords | 時間概念 / グラフ認知 / 小学校理科 / 中学校理科 / 小学校算数 / 中学校数学 |
Research Abstract |
平成16年度は、以下の内容を中心に研究を進めた。 1)小学校、中学校で使用されている理科、算数・数学の教科書中における時間と位置、速さについての定義と関数グラフについて、大正期の国定算術教科書との比較分析 2)小学校児童を対象とした、時間と位置、速さの関係についての認識調査。 3)児童・生徒が実験結果を判断し問題を解決していくために、最も妥当と考える、時間、位置、速さの関係を探究する理科実験モジュール試作。 1)について 大正期の国定算術教科書では、横軸に対して連続量を扱えない棒グラフと、連続量を扱える折れ線グラフが混同していた。そして、この混同の原因は当時の新主義数学における関数概念の導入方法にあり、その導入方法は現在の教科書においても用いられていることが明らかになった。 2)について グラフ連想質問紙を用いた調査を行った。これは軸名がついていない6種類のグラフについて、関係する量を予想するものである。その結果、時間に関する変数をいずれかのグラフにおいて記述していた割合は、6学年で約9割、5学年で約6割、4学年で約5割であった。理科の学習においては3学年から時間を変数とする観測があり、5学年では気温の時間変化をグラフ化する学習があるにもかかわらず、6学年のみで大きな差が見られることが明らかになった。 3)について 小学校5学年と6学年各2クラス計160名を対象に、超音波距離センサーを用いて動きをグラフ化する実験を行い、各クラス4グループについてビデオ記録と会話プロトコルをとった。この実験は平成15年度までの実績で開発した実験方法を、特に横軸の意味とグラフの傾きについて焦点化するように改良したものである。その結果、小学校5学年においても、実験結果のグループ討議においてキーワードが現れた段階で、ヒントを教師側から加えることで、横軸の意味とグラフの傾きを推察することの可能性が示された。
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Research Products
(1 results)