2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の自然体験プログラムの開発と普及に関する実践的研究
Project/Area Number |
15500601
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Research Institution | Kinki Welfare University |
Principal Investigator |
井上 美智子 近畿福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (80269919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
無籐 隆 白梅学園大学, 現代子ども学部, 教授 (40111562)
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Keywords | 幼児 / 自然体験プログラム / 環境教育 |
Research Abstract |
東京都・兵庫県の保育所・幼稚園1600園を対象とした質問紙調査の分析を進め、その結果を保育学会で発表した。保育現場は園庭や地域の環境の実態にかかわらず、保育者が意図的に自然との関わりを活動の中に含まれるよう環境や活動を考えていることがわかった。しかし、そこで見られる活動内容や環境設定は従来の自然との関わりと大差はなく、自然の循環性や多様性を意識した内容などはまだあまり検討されていないことが明らかになった。また、幼保・公私のカテゴリー別にみてみると、自然と関わることが意図的に考えられているかどうか・園庭などで子どもが好きなことをして遊べるよう保障されているかどうかなど、多くの点で公立幼稚園の実態が高く評価できた。 継続実施している、幼児の自然体験プログラムの開発を目的とした民間の環境教育実践施設キープ自然学校における幼児対象自然キャンプに2回、参与観察者として参加した。今年度は前年度に引き続き、「森のようちえん」という名称で12回の企画が企てられた。幼児のプログラムの観察は、発話記録と観察記録を取るという方法を踏襲し、分析を行った。また、保護者に対しては今までの自然体験量や幼児と自然との触れあいについての考え方などを知るための質問紙調査も並行して実施した。参与観察の記録からは、子どもが森の中で活動する内容には単に自然体験だけの枠に留まらない多様な経験があることがわかった。すなわち、森の中の活動は、子どもの総合的な発達の全ての部分に関わる場を提供していると考えられた。その上に、自然の中ではそこでしかできない体験も含まれることから、自然との関わりが発達に寄与するものが再確認できた。 今年度は、年度終わりに、同様の活動をしている他団体と、保育現場の教員を交えてまとめの研究会を実施した。各実践者とも自然との関わりの価値を認めそこに子どもの多様な育ちの場認めているが、それを言語化していくこと、また、親にどう向き合っていくかが課題であると確認できた。
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