2003 Fiscal Year Annual Research Report
物理理論を実感できる手づくり体験型展示物の研究・開発
Project/Area Number |
15500604
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
金子 俊郎 国立科学博物館, 学習推進部, 主任教育普及官 (30332125)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 誠司 国立科学博物館, 学習推進部, 教育普及官 (90259995)
小川 義和 国立科学博物館, 経営管理部, 経営計画室長 (60233433)
|
Keywords | 手づくり体験型展示物 / 物理理論 / 科学体験教室 / ものづくり |
Research Abstract |
平成15年度は手づくり展示物において世界的に有名なエクスプロラトリアムの調査を行い、物理理論に関する手づくり体験型展示物の試作を行うとともに、科学体験教室における物理理論の教育的効果のアンケート調査を実施した。それらの要旨は以下の通りである。 (1)サンフランシスコのエクスプロラトリアムの調査では日本の博物館や科学館では考えられないほど大きなワークショップ(工房)を目の当たりにし、ものづくりには是非必要な場所であると再認識させられた。力学に関する展示物の中で球の水平投射による運動の展示がたいへん印象に残った。高等学校の物理の教科書に良く出てくるmgh=1/2mv^2の式の中に表現されている物理理論と教育的効果を良く考えた体験展示であり大きなヒントを得た。 (2)物体の速度は与えられたエネルギーに正比例するのではなく、その二乗に比例するという意外性を伴ったmgh=1/2mv^2力学的エネルギーの保存による運動の理論を取り入れた手づくり体験型展示物を試作した。具体的にはいろいろな位置エネルギーを与えたときの球の水平投射による運動の展示製作である。設計にあたっては、球の運動について十進BASICプログラムを用いたシミュレーションによりグラフ化し、飛距離、落下時間、通過位置と球の大きさの検討を行った。また、物理理論を展示物の中に具体化するためには球を正確に運動させる必要があり、そのための発射装置の工夫も行った。物理理論を展示物に具体化することは予想以上難しく様々な工夫が必要となった。 (3)今年度実施した物理分野での科学体験教室(国立科学博物館学校等出前講座)におけるアンケート調査から、思っていた以上にものづくりによって物理理論が実感できることがわかり、ものづくりが物理理論の教育的効果に大きな役割を果たすことにつながる結果となった。 (4)物理理論を実感するためには自分でつくったものを利用して体験することが最も良い方法であるが既に目の前にある自分で作ったのではない展示物を利用した体験を通して利用者が物理理論を実感するための工夫が課題である。
|
Research Products
(2 results)