2003 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦初期の旧ソ連邦における科学者の思考と行動に関する歴史的実証研究
Project/Area Number |
15500659
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市川 浩 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00212994)
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Keywords | 旧ソ連邦 / 冷戦 / 科学者 / 軍事研究 / スターリン体制 / 物理学 / 数学 / 工学 |
Research Abstract |
研究代表者は平成15年5月18日〜5月27日、および、平成16年3月14日〜20日の間、2回にわたり、ロシア連邦モスクワ市において、史料調査を実施した。現地では、ロシア科学アカデミー・S.I.ヴァヴィロフ名称自然科学史=技術史研究所の協力をえて、ロシア国立社会=政治史文書館、ロシア科学アカデミー文書館、および、モスクワ国立大学文書館などで史料調査に従事し、1940年代後半から1950年代前半の時期に旧ソ連邦のアカデミズム、具体的にはソ連邦科学アカデミー(とりわけ、その「物理学・数学部」、および「工学部」)に生起した重大な諸事件のうち、(1)一連の学問分野別"討論"と並行して繰り広げられた"コスモポリタニズム、対外拝跪主義"批判キャンペーンの烽火ともなった一連の科学者の他の科学者グループに対する権力=ソ連共産党宛の告発、(2)彼らの第2次世界大戦中からの科学アカデミー会員補充選挙やその他の待遇問題に関する不満、(3)強い影響力をもった科学アカデミー会員、ニコライ・ブルーエヴィチの解任劇の実態と科学アカデミーにおけるムスティスラフ・ケルドゥィシュ、ミハイル・ラヴレンティエフらの台頭を跡づける一次史料の発掘に成功した。これらは「計画調書」に例示した6項目の事例うち、(2)、(3)、(5)項の事例研究の典拠となりうる、非常に貴重な発見であった。本補助金で購入したノート型パソコンは複写が事実上禁じられている文書資料の摘記に大きな力を発揮した。また、二次資料ながら、本補助金で購入した図書資料の多くが貴重な研究情報源となるものであった。 これらを分析し、ブルーエヴィチ解任劇を課題のひとつとする論稿を執筆することができた。当該論稿は現在、国際学会誌において査読の過程にあることを申し添えておく。
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