2004 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦初期の旧ソ連邦における科学者の思考と行動に関する歴史的実証研究
Project/Area Number |
15500659
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市川 浩 広島大学, 総合科学部, 教授 (00212994)
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Keywords | 旧ソ連邦 / 冷戦 / 科学者 / 軍事研究 / スターリン体制 / 物理学 / 数学 / 工学 |
Research Abstract |
研究代表者は平成16年9月5日〜9月17日、および、平成17年2月6日〜16日の間、2回にわたり、ロシア連邦モスクワ市において、史料調査を実施した。現地では、ロシア科学アカデミー・S.I.ヴァヴィロフ名称自然科学史=技術史研究所の協力をえて、ロシア国立社会=政治史文書館、ロシア科学アカデミー文書館、および、モスクワ中央市立文書館などで史料調査に従事し、前年度にひきつづき、(1)一連の学間分野別"討論"と並行して繰り広げられた、一連の科学者にたいする、ある科学者グループからの権力=ソ連共産党への告発キャンペーンの実態、(2)彼らの第2次世界大戦中からの待遇問題に関する不満と前記の告発キャンペーンとの関連、(3)物理学、物理化学分野における、告発の対象となった一連の科学者の、学問分野別"討論"、および告発キャンペーンへの対応、(4)科学者内部の確執がもっとも尖鋭に現れたモスクワ国立大学物理学部の戦時下・終戦直後の物質的条件、などを跡づける一次史料の発掘に成功した。これらは「計画調書」に例示した6項目の事例うち、(1)、(2)、(6)項の事例研究の典拠となりうる、非常に貴重な発見であった。本補助金で購入したノート型パソコンは複写がたいへん困難な文書資料の摘記に大きな力を発揮した。また、二次資料ながら、本補助金で購入した図書資料の多くが貴重な研究情報源となるものであった。 平成16年度においては、これらの分析のうえに、おもに、上記の(3)の論点について、現在印刷中の論稿(下記)、および、(4)の論点について現在投稿中の論稿、計2稿をまとめあげることに成功した。また、前年度に執筆したブルーエヴィチ解任劇(「計画調書」の(5)項に関連)を課題のひとつとする論稿はIEEE Annals of the History of Computing誌に掲載されることが確実となったことを申し添えておく。
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Research Products
(1 results)