2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500674
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
早川 泰弘 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (20290869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 徹英 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部・広領域研究室, 研究員 (00321555)
佐野 千絵 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・生物科学研究室, 室長 (40215885)
三浦 定俊 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部, 協力調整官 (50099925)
吉田 直人 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・化学研究室, 研究員 (80370998)
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Keywords | 蛍光X線分析装置 / 可搬 / 彩色 / 顔料 / 高松塚古墳 / 紅白梅図 / 吉祥天 |
Research Abstract |
東京文化財研究所が中心となって近年開発された可搬型の蛍光X線分析装置などを用いて、様々な彩色文化財の材質調査を行い、彩色材料や技法に関する新たな知見を数多く得ることができた。今年度は本研究課題の初年度として、国宝に指定されている絵画や壁画の顔料分析を積極的に行い、以下に示すような結果を得た。 1、国宝「吉祥天像」の彩色分析 薬師寺に所蔵される国宝「吉祥天像」(8世紀前半)について、彩色材料の調査を行った。ポータブル蛍光X線分析装置を用いて全49箇所の測定を行い、Pb系白色顔料が彩色下地として用いられていること、現在紫色と認識できる部分で5種類、赤色と認識できる部分で3種類の材料が使い分けられていることを明らかにした。 2、国宝「紅白梅図屏風」の彩色分析 MOA美術館に所蔵される江戸期18世紀を代表する絵画である。ポータブル蛍光X線分析装置を用いて全57箇所の測定を行い、金箔と考えられていた部分で箔が使われていないこと、黒く描かれている川の部分で全く顔料が使われていないことなど、従来の定説とは大きく異なるデータを得た。 3、国宝「高松塚古墳壁画」の彩色分析 7世紀末から8世紀初頭にかけて描かれたと考えられている日本を代表する絵画であり、現地で実際の壁画を対象とした初めての調査であった。ハンディ型蛍光X線分析装置を用い、全173箇所の測定を行った。Pb系白色顔料が彩色下地として用いられていること、赤色部分で複数の顔料が明確に使い分けられていることなど、非常に貴重なデータを得ることができた。
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Research Products
(1 results)