2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15500675
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
川本 耕三 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 里佳 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30250351)
中越 正子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40280838)
江野 朋子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (90342998)
中村 晋也 金沢学院大学, 美術文化学部・文化財学科, 講師 (10301003)
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Keywords | 接着 / 鉄器 / 青銅器 / エポキシ樹脂 / 圧縮剪断接着強さ |
Research Abstract |
昨年度は、出土遺物等を接着したときの接着強さに及ぼす処理薬剤の影響を調べるため、擬似的に接着した土器(埴輪)試料と民具(木質材料)試料を作製し、保存処理によって遺物内に残留する可能性がある溶剤等の薬剤に浸漬した後、接着剤の曲げ接着強さ試験方法(JIS K 6856)に準じてその強度を測定した。 今年度は昨年度に引き続き、金属器の擬似接着試料による強度試験を圧縮剪断接着強さ試験方法(JIS K 6852)準じて接着剤の強度試験を行った。 まず、出土鉄器と青銅器を想定して、厚さ10mmの鉄板及び銅板を30×25mmの直方体に切断し、#600の研磨紙で研磨した後、アセトン洗浄し、10%酢酸雰囲気中に常温で静置して1週間錆びさせた。この試料を2個1組にしてJIS K 6852(圧縮剪断接着強さ試験)で規定されたように、出土金属器の保存処理によく用いられるエポキシ樹脂系接着剤ハイスーパー30、同5、ニトロセルロース系接着剤セメダインC(いずれもセメダイン(株))で接合し、接着面を水平に保って1週間静置し、オートグラフ(島津製作所製AGS-H)に圧縮剪断接着強さ試験ジグを装着して1mm/minの速度で接着強さを測定した。 実験結果より、鉄と銅の接着における破壊挙動を比較する。3種類の接着剤共に銅では接着剤と銅板の界面で破壊するのに較べて、鉄では界面破壊と接着剤の凝集破壊の両方が見られた。これは、銅と鉄の錆に粗密等物理的性質の違いがあるためと考えられる。次に、浸漬薬剤を比較するとエポキシ樹脂系接着剤ではエタノール・アセトンに浸潰中に剥離するなど弱く、キシレン・酢酸エチル・L-559には接着力の低下が見られなかった。この結果は平成12〜14年に行った「薬剤含浸処理した出土木製品の接着の力学的研究」での浸漬薬剤の接着剤への影響と傾向が一致した。
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Research Products
(2 results)