2004 Fiscal Year Annual Research Report
SVG地図を対象としたグラフィック論理チェックツールの開発
Project/Area Number |
15500677
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
有川 正俊 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (30202758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喬 法政大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60267325)
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Keywords | グラフィックス論理 / 視覚インタフェース / 地図学 / SVG / ソフトウェアツール / XML / マップチェッカー / 視覚伝達性 |
Research Abstract |
ジャック・ベルタン氏の視覚コミュニケーションの観点から、グラフィックスの目的は、論理を可視化することと考える。グラフィックスで人に伝えたいことは以下の3つの関係となる。 ・割合(量/全順序を表現) ・順序(量は表現しないが、半順序を表現) ・類似性(違い/同一性を表現) 悪いグラフィック表現とは、もともと伝えたい上記の関係をうまく伝えられない表現になっていると見なすことができる。本研究では、人あるいはGISが生成したSVG(Scalable Vector Graphics)地図を対象として、上記の3つの関係を機械的に抽出して、地図学における常識と異なる例や利用者の意図と異なる例などの不適切なグラフィック表現を検出し、修正案を提示できる機構を理論的に体系化する。また、実際にソフトウェア開発を行い、われわれの理論の正当性を検証する。 本年度は、SVGの表現要素の分類と視覚変数の関係の整理を行い、それに対応するソフトウェア開発を行った。つまり、SVGには基本的な図形として、line, rect, circle, polygon, polylline等のelementがその仕様として定められている。path elementを用いることでそれら全ての図形を表現することができる。視覚変数とpath elementととの対応は、path elementの座標のための属性である(d : pathdata)、塗り操作のための属性である(fill, stroke)が基本的に用いられている。人は複雑な処理を行うことで、視覚変数を知覚しており、コンピュータの解釈を人の理解に近づけるためには、段階別の処理が必要となる。まず、視覚変数に関係するpath elementの属性を読みとり、次ぎにpath elementの属性に簡易な処理を加え、視覚変数に部分的に対応づける。さらにpath elementの属性に対してより高次な処理を加えることで、人の理解に近いものとして対応づける。これらの段階別の処理をもって、視覚変数とpath elementの表現要素を対応づけることができる。視覚変数を分類している点線面は、人が知覚できる点線面であり、図素(Graphic Element)である。Path elementの属性である座標から点線面を幾何的に分類することは可能ではあるが、それらの分類は、人の理解と同等になるわけではなく、人は相対的な見え方から点線面を判断している。最終的に、点線面の判別を人の理解に近づけるためには、幾何的な大きさを考慮し、しきい値をみつけることで判断することになる。 色に関しては、コンピュータが解釈しやすいRGBから人が理解しやすいHSBに変換することが必要となる。この変換により、視覚変数:色(色相)と視覚変数:濃淡(明度)を抽出することができる。また、人は、きめ、方向、形を前提となるパターンと整合をとりながら知覚しているため、コンピュータはパターン処理を行うことで人の理解に近づくことができる。視覚変数とPath elementの表現要素との対応付けは、従来のラスタフォーマットに比べ、ベクトルフォーマットであれば比較的容易に実現可能である。対応付けが可能になったことにより、視覚変数をそれぞれの段階に応じて定量化・視覚化することも容易になった。
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Research Products
(4 results)