2005 Fiscal Year Annual Research Report
木曽ヒノキ標準年輪曲線を用いた過去1000年間の気候復元
Project/Area Number |
15500685
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
米延 仁志 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (20274277)
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Keywords | 樹木年輪 / 年輪年代学 / 年輪気候学 / 木曽ヒノキ / 気候復元 / 年代測定 |
Research Abstract |
本研究では、木曽ヒノキ現生木および埋没木を用いた標準年輪曲線の作成と過去1000年間の気候復元を当初の目的とした。そのために、木曽ヒノキ現生林の分布域全体にわたって17の地域で現生木円板試料(30-110個体/地域)を、またその中の一部の地域では倒木、埋没木、根上台木(試料点数計377)を得た。所定の方法で年輪幅計測を行い、目視及び移動相関法(クロスデーティング)による年輪年代決定を行い、標準年輪曲線を作成した。その結果木曽地域全体で8地域について220〜350年長の地域標準年輪曲線を作成した。さらに埋没木等が利用できる地域では当初の計画を上回るAD645年から現在に至る1358年長の標準年輪曲線が得られた。各地域標準年輪曲線について、肥大成長に影響する月別気象要素の分析(応答関数解析)を行い、全ての最終地域で、木曽ヒノキの年輪幅が、早春期(2-4月)の気温に対して正の相関を、また一部の地域で例外が見いだされたが、前年7-8月の気温に対して負の相関を示すことが明らかとなった。この結果をもとに、気候復元のための伝達関数モデルを作成し、中世温暖期から小氷期、そして現在に至る早春期の気候変動を復元した。復元結果を東アジア地域における従来の研究成果(古文書(日本、中国)、年輪等(韓国、モンゴル、欧州、北半球平均気温等))と比較・検証し、良好な対応を得た。木曽ヒノキ年輪による気候復元は、数年から数10年のオーダーで特に良好な結果を示し、これまでに無い高い時間分解能で過去の気候を復元する能力を持つことが明らかとなった。また本研究で得られた標準年輪曲線は奈良時代までを十分にカバーし、歴史考古学における出土木製品等の年代測定にも利用可能である。
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Research Products
(4 results)