2006 Fiscal Year Annual Research Report
X線マイクロアナライザーによる南九州の第四紀テフラの同定に関する研究
Project/Area Number |
15500687
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森脇 広 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (70200459)
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Keywords | テフラ / X線マイクロアナライザー / 同定 / 古環境 / 南九州 / 第四紀 |
Research Abstract |
1.今年度前半においては,これまで採取できなかったテフラについて補足的旗採取調査をおこなった.特に大隅半島・薩摩半島・南西諸島において新しく出現した露頭のうち,重要なテフラが見いだされた地点において第四紀後期のテフラの採取を行った.注目したテフラは指宿周辺の後期更新世・完新世のテフラで,分布・給源が不明なテフラー唐山テフラーと開聞岳テフラ群のうち給源から北西に広く飛散している縄文晩期ごろのテフラーKm-4-である.前者については,今回の調査で東方のみならず西方にも厚く飛散し,しかも給源付近でも極めて細粒なことから,マグマ水蒸気噴火の産物であること明らかとなった.そうした特徴は,その給源が,これまで推定されてきた唐山や清見岳のような成層火山ではなく,これらの周囲にあるマール状の火ロ,あるいは池田湖カルデラ等のより水に富んだ噴火地形であることを示唆する. 2.採取した第四紀テフラから火山ガラスの抽出,樹脂によるマウント,研磨を行った.火山ガラスの抽出は明治大学地理学教室の電磁分離器,研磨は鹿児島大学根建研究室,蒸着は鹿児島大学機器分析センターの機器を使用した.マウントした試料は約100試料以上に及ぶ. 3.今年度後半に,鹿児島大学機器分析センター設置のX線マイクロアナライザーを使って,マウントされた火山ガラス試料の主成分組成の定量分析を行った.特にメンバー単位で系統的年行ったテフラは薩南諸島とトカラ列島の後期更新世・完新世テフラ群である.ここで得た主要な結果の一つは,広域指標テフラであるAT, K-Ahを同定し,これによって,トカラ列島のテフラ群の編年を広く確立できたことである.またトカラ列島のテフラの中に約70%以上に及ぶ高いSiO2を含有する珪長質テフラが存在していることも注目される.それは薩南諸島や大隅・薩摩半島南部に飛散していることを示唆し,トカラ列島の火山灰編年を南九州のテフラ編年の中に直接組み込むことが可能であることを推定させる.
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Research Products
(1 results)