2003 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化と海面上昇に対するサンゴ礁の応答と上方成長に関する研究
Project/Area Number |
15510006
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大出 茂 琉球大学, 理学部, 助教授 (20117568)
|
Keywords | サンゴ礁 / 海面上昇 / 地球温暖化 / 年代測定 / ストロンチウム同位体 / フナフチ環礁 / 沖縄 |
Research Abstract |
サンゴ礁が海面上昇に対してどのようにレスポンスするのかを知ることは、サンゴ礁を海水準の指標として使ううえで重要である。そこで、沖縄のサンゴ礁において、サンゴ礁の上方成長を知る目的で、サンゴ礁の調査とボーリングを行った。さらに、本研究では、イギリスの研究機関によって行われたサンゴ礁ボーリングによって採取され、大英博物館に保存されているフナフチ環礁コア試料の年代測定を行った。 沖縄のサンゴ礁(ルカン礁)において、ハンドドリルを使って約30cmのハマサンゴのボーリングを行った。その結果、ハマサンゴは、1年間で約1cm上方成長することが明らかになった。さらに、サンゴ礁の水質調査から、炭酸カルシウム生産量を測定し、2003年7月および8月の2度の観測の平均値は、8mmol/m^2/hであった。また、サンゴ礁の成長速度は、環境水の炭酸カルシウムに対する飽和度と密接に関係することが明らかになった。 フナフチ環礁ボーリングコア(50試料)のストロンチウムおよびウラン同位体比を測定し、年代測定を行った。その結果、150万年間で200メートルのサンゴ礁堆積物がフナフチ環礁に堆積したことが明らかになった。また、その堆積過程は連続ではなく、飛び飛びであり、間氷期-氷期のサイクルとの関係が推測された。 タイ湾およびセブ島のサンゴ礁調査結果は現在検討中であり、多くのサンゴ礁のデータをつなぎあわせることによって、過去の海面変動の歴史とサンゴ礁の上方成長の関係を定量的に明らかにする予定である。
|