2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510010
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
加藤 義久 東海大学, 海洋学部, 教授 (00152752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 尚史 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50250501)
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Keywords | 海水化学組成 / 微量元素 / バリウム / ケイ素・窒素比 / 分布間システマティズム / 水塊解析 / 物質循環 / 生物生産 |
Research Abstract |
本研究は海洋物質循環の解明のために,海水中における元素毎の分布とそのシステマティズムを明らかにすることを重要な課題としている.特に,本研究グループによって明らかにされたバリウム-ケイ酸塩/硝酸塩比(Ba-si/Nダイヤグラム)における直線関係が海洋全体でも成立するか否かについて検証し,海洋の動的構造に依存するバリウムの循環を化学海洋学的に理解する方法を開発する.本年度には,平成15年度研究実施計画に沿って,次のような研究を実施した. (1)インド洋東部海域(加藤・成田) 東京大学海洋研究所「白鳳丸」航海によってインド洋東部海域(1996-97年,東インド洋北緯10度から南緯40度の海域)において採取された約200試料を分析した.その結果,両成分はBa-Si/Nダイヤグラム上では直線関係が成立し,本海域ではBa=34+18.4(Si/N)であった (2)北太平洋亜熱帯海域東西横断測線(加藤) 水産庁「開洋丸」航海によるWOCE-PO2T測線(1994年,北緯30度線における東経135度から西経120度の海域)において採取された約800試料を分析した.同様に,両成分間における直線関係はBa=2+32.5(Si/N)であった. (3)GEOSECSデータによる解析(加藤・成田) 1970年代に実施されたGEOSECS計画では,広範囲の海洋におけいてバリウムの分布が明らかにされた.しかしながら,バリウムが測定された場所は,太平洋16測点,大西洋20測点,インド洋における8測点の合計44測点にすぎない.それでもデータを解析したところ,北大西洋北部から北太平洋北部域に向かう深層水循環の流れに沿って(深度4000m),深層水中のバリウム濃度は約3.5倍増加することが判った.それに対して,ケイ酸塩/硝酸塩比は約9倍の増加であった.この深層水はBa-Si/Nダイヤグラム上ではやはり組成は一定で,直線関係を示すことが判った. このように,バリウムとケイ酸塩/硝酸塩比の2つの成分は互いに関係し合って海洋中で分布していることが明らかになりつつある.現在の海洋におけるこのようなシステマティズムを古海洋環境変動の解析に応用することが,本研究のもう一つのねらいである.
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Research Products
(5 results)