2003 Fiscal Year Annual Research Report
東インド洋熱帯域での海洋環境変動に対するENSOとインド洋ダイポールの影響
Project/Area Number |
15510011
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡田 喜裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (70224037)
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Keywords | 東インド洋熱帯域 / インド洋ダイポールモード / エルニーニョ・ラニーニャ / 人工衛星データ / 湧昇 / 経年変動 / 食物プランクトン / 物理-生物学的プロセス |
Research Abstract |
ENSOやインド洋ダイポールモード(IODM)現象と東インド洋熱帯域における物理-生物学的相互作用プロセスの解明を試みるために、まず衛星データの収集及び初期段階の解析を行った。本研究室では、東インド洋熱帯域においても様々な衛星により、海洋パラメータを得ることができる。以下に取得した海洋パラメータと、異なる衛星ミッションに基づく期間に従ったデータ期間について示す。海表面水温(SST)(1985-2002)、クロロフィルa濃度(1978-86;1996-2002)、風速・風向(1991-2002)、海面高度(1992-2002)、各衛星データは月単位の時系列データである。 IODM現象の指標として、衛星SSTデータのインド洋西部エリア(10°S-10°N,50 -70°E)の平均偏差と東部エリア(0-10°S,90°-100°E)の平均偏差の空間的差を使用し、ENSOをIODMの関係を明らかにするためにENSOにおける指標の南方振動(SOI)の変動の激しかった時期と同時期の1996-2002年について調査した。その結果、1997年の7-9月が最も冷たく、1998年の2-3月が最も暖かいということが分かった。通常7-9月に沿岸域に限り植物プランクトンのブルーム(異常発生)が起こるが、上記の1997年の7-9月では、東インド洋の広範囲で確認された。その原因は、ロンボク海峡南西沖、ジャワ島南沖に発生した例年より規模の大きい湧昇と考えられ、ENSOやIODM現象が強い時期と一致していることが分かった。その他に、1999年7-9月に比較的クロロフィルa濃度が高い時期が確常できたが、その時期は非常に弱いIODM現象やラニーニャと同時期であり、発生場所も沿岸域だけに集中していた。 以上のことより、1997年後半、1998年前半、1999年後半に発生した風、SST、クロロフィルa濃度の異常はENSO, IODMの発達パターンと一致しており、そのような現象と物理-生物学的プロセスとの間には強い相互作用があることが示唆された。最近の論文において、IODM現象は海表面だけではなく、準海表面のメカニズムが重要であるといわれ始めている。今後、ブイデータと船舶データの解析を行い物理-生物学的プロセスの相互作用のメカニズムの解明を行う。今年度の調査の結果は2004年春(2004/3/29)の日本海洋学会において発表する(タイトル;Influence of ENSO and the Indian Ocean Dipole Mode (IODM) events on phytoplankton dynamics in the eastern Indian Ocean as depicted from the SeaWiFS observation)。
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