2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気環境中に放射性核種並びに微量元素の起源と挙動に関する研究
Project/Area Number |
15510012
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
本多 照幸 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (30139414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 勝己 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 室長 (70343895)
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Keywords | 大気環境 / 大気粒子状物質 / 黄砂 / 微量元素 / 放射性核種 / Wash out効果 / 中性子放射化分析 / γ線スペクトロメトリ |
Research Abstract |
平成16年度では、2002年10月から2003年10月の1年間(51期間)を通し、武蔵工業大学原子力研究所内で採取した大気粒子状物質(PM)及び黄砂について、微量元素を中性子放射化分析法を用いて定量し、また放射性核種をγ線スペクトロメトリにて定量した。 その結果、(1)PM濃度(積算流量当たりのPMの収量)と降水量の関係では、wash out効果により、降水量が多いとPM濃度は低くなる傾向を示した。また、(2)降水期間とサンプリング期間のずれに対する、降水量とPM濃度の相関係数より、半日から約1日前におけるwash outがPMの収量を最も減少させることが分かった。 次に、(3)各元素間における相関係数より、Br-Sb及びSc-Fe-Laについて、それぞれ高い相関を示した。さらにPM10(粒径10μm以下の粒子状物質)における粒径分布を考慮すると、Br-Sb及びSc-Fe-Laについては、それぞれPM10による寄与が大きいことが示唆された。(4)PM中のThと2000年つくば、長崎降下物中のCs-137放射能濃度の時系列変化より、2000年降下物中のCs-137は主に3月から5月に検出されており、PM中のThも同期間に検出されたことより、PM中のThは主にアジア大陸からの黄砂による寄与であることが示唆された。(5)地殻規格化パターンより、Sc、V、La、Thは地殻に比べてPM中に少なく、反対にBr、SbはPM中に多く含まれていることが分かった。また水に対する溶解度の違いより、Laは他のランタノイド元素と異なる挙動を示した。 さらに、(6)各風向におけるPb-210とBe-7の平均放射能濃度より、両核種において南風が吹いた時より、北風が吹いた時に放射能濃度は高くなった。この理由としてPb-210はRn-222の大気中に拡散する割合が、海洋と大陸で1000倍以上、大陸の方が大きく、また、Be-7は宇宙線の緯度効果が影響しているためと考えられる。
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Research Products
(6 results)