2004 Fiscal Year Annual Research Report
pH4から自然に中性化した屈斜路湖の将来予測:富栄養化か再酸性化か
Project/Area Number |
15510017
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
田中 敦 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (80171734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬山 春彦 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 室長 (40142096)
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Keywords | 屈斜路湖 / 酸性湖沼 / 水温 / アルカリ度 / 水収支 |
Research Abstract |
夏期の成層期から冬季結氷期にかけて、採水とCTD観測を繰り返した。前年に観測された通り温水が湖底から供給され、かつ、すみやかに混合していること、冬季には湖底水温は最大密度よりも軽い約2℃まで冷却されており、冬季でも混合が継続し異常な温度プロファイルが作られ続けることが確認された。屈斜路湖に流入する10本以上の河川と流出河川(釧路川)について、4回の流量観測と試料採取を行った。また、ボランティア団体の協力を仰ぎ、釧路川については毎月の採水、観測を継続した。 2003年9月から屈斜路湖最深部に設置した水温、電導度、クロロフィル・濁度計を2004年8月に回収した。秋季・春季混合が湖底まで起きた後、水温が最大密度で安定せず連続的に変化すること、解氷後のクロロフィル量が大幅に増加することなどが示された。酸のバランスを考える上で最も重要な、酸濃度・成分濃度の高い湯川流入口に水温・電導度計を再び係留した。冬場を含めたイオン収支の情報を与える。 これまで採取した試料について、アルカリ度、溶存成分などの測定を行った。その結果、イオン濃度の減少とアルカリ度の上昇については、高精度の測定を行うことで年変化が検出できた。アルカリ度は依然として減少傾向にはなっておらず、現在のところ再酸性化のおそれはないことが示された。一方、春先のクロロフィル量増加などの傾向があり、公共用水域の栄養塩観測などと合わせて、今後の富栄養化には警戒が必要であることが示唆された。
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