2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境カドミウム曝露のリスク評価に関する腎障害の長期追跡研究
Project/Area Number |
15510025
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
加藤 輝隆 富山大学, 医学部, 助手 (80115162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 秀豊 富山大学, 医学部, 助教授 (40115184)
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Keywords | カドミウム / 環境汚染 / イタイイタイ病 / 近位尿細管機能異常 / 米中カドミウム濃度 / 追跡調査 |
Research Abstract |
1.尿細管機能異常を呈する女性を対象に20年間の経過を検討した。尿β_2-ミクログロブリン(β_2-M)値1mg/gCr以下の例では,近位尿細管機能異常の進行・悪化はみられず,血清カルシウム・無機リン・ALP活性は正常範囲内を経過した。尿β_2-M20mg/gCrを超えた例では,%TRPの低下など多発性の近位尿細管機能異常の進行・悪化を認めた。尿β_2-M30mg/gCrを超える高度例では,Ccr値の低下が顕著であり慢性腎不全となった。 2.自家産米中Cd濃度の幾何平均値は,対照地域60検体では0.11ppm,汚染地域94検体では0.05ppmであり,汚染地域では対照地域と比較し50%の低値を示した。しかし,対照地域の最高値0.29ppmに対し,汚染地域では0.56ppmと2倍近く高く,かつ0.30ppmを超える米が5件見出された。このように,汚染地域において高濃度のCdを含有する米が現在なお産出されるのは,おそらく当該地域に一部残っている未復元の汚染土壌水田における作付けの影響と考えられた。 3.富山県神通川流域Cd汚染地域における,昭和21(1946)〜30(1955)年生まれの男女住民(調査時45〜56歳)中,汚染地域産米を飯米としていた住民では,居住年数と関連した尿Cdの有意な上昇がみられ,体内とくに腎臓へのCd負荷が認められた。近位尿細管機能への影響に関しては,β_2-M1,000μg/gCrを超える明らかな近位尿細管再吸収機能障害例は,男女において1例も見出されなかった。大正3(1914)〜昭和4(1929)年に出生した男女住民(調査時55〜70歳)では,尿β_2-M1,000μg/gCrを超える例が男58%,女49%と半数に及んでいたことから,尿細管障害の頻度および程度に関しては,世代間格差のひじょうに大きいことが伺われた。
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Research Products
(2 results)