2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510034
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤倉 良 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10274482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 幹康 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10217945)
押谷 一 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (70289825)
毛利 勝彦 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (00247420)
|
Keywords | 世界ダム会議勧告 / 住民移転 / 移転補償 / 開発援助 / スリランカ / 日本の経験 |
Research Abstract |
世界ダム会議勧告の中心事項はダム建設に伴う移転住民対策であり,勧告の実施可能性を検討する上で,有効な移転住民対策を提示することは不可欠である。 今年度は,インドネシアのダム開発によって移転した住民の生活実態をアンケート等により現地調査し,その成果を論文としてとりまとめ,投稿した。 また,スリランカ,ペラデニア大学を訪問して打ち合わせを行い,1970年代から実施されたマハベリ灌漑事業のダム建設に伴って移転した住民の生活再建状況について,同大学と共同で詳細調査を行うための現地予備調査を行った。 マハベリ灌漑事業では数ヶ所の灌漑や水力発電のためのダムが建設され,これによって立ち退きを求められた住民が灌漑対象地域などに移転した。移転先は水没地域の上方か,遠隔の灌漑農地が農民によって選択された。水没地域上方は傾斜地のため茶が主要農産品となったが,灌漑農地では稲作が中心であった。農作物の他,住宅などの移転条件も移転地によって異なっている。このため,移転後10年以上を経た現在,住民の生活再建状況にはかなりの差異が生じている。これを分析することが,今後のダム建設による住民移転対策に重要な示唆を与えることができると考えられた。 また,日本の過去の住民移転事例を調査することも,意義あることと考えられ,今年度は2ヶ所で現地調査を行った。 北陸電力神通川第一・第二・第三ダムでは,借地方式によって住民へ補償を行っており,その実態を調査した。この極めて珍しい水没補償方式の実態・問題点がさらに明らかになったことで,今後途上国のダム建設に際しての応用可能性を探る上で,大いに参考になると考えられる。 昭和30年に建設された静岡県井川ダムについても,建設に伴う水没補償・移転の中長期的な帰結につき現地予備調査を行い,用務先との間で調査実施に関する基本的合意を得た。
|
Research Products
(1 results)