2003 Fiscal Year Annual Research Report
淡水魚類生息環境のダムによる分断と河道直線化による均質化の影響評価
Project/Area Number |
15510037
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
福島 路生 独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 主任研究員 (10291048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 哲 独立行政法人国立環境研究所, 流域圏環境管理プロジェクト, 主任研究員 (80332237)
矢吹 哲夫 酪農学園大学, 環境システム学部・地域環境学科, 教授 (50275484)
金子 正美 酪農学園大学, 環境システム学部・地域環境学科, 助教授 (00347767)
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Keywords | 生息環境分断 / 淡水魚類 / ダム / 河川の蛇行 / 河川の直線化 / 複雑度指標 / 種多様度 / 潜在生息確率 |
Research Abstract |
北海道の貯水ダム・砂防ダムのGISデータベースならびに過去40年間の淡水魚類相のGISデータベースを作成し、それにもとづいて淡水魚の種多様度・個々の種の生息確率に及ぼすダムによる生息環境分断の影響を調べた。その結果、種多様度は一般に標高の低い大河川中下流域において高くなる傾向が見られるが、ダムによるダメージもやはり標高の低い地点にそれが建設されるほど大きくなることが分かった。種ごとにその影響を見ると、海と河川を行き来するいわゆる通し回遊魚と呼ばれる淡水魚(サケ・マスや多くのハゼ科など)へのインパクトがもっとも甚大であることが分かった。しかし一方、一生を河川内で過ごす純淡水魚の中でモツゴやヤチウグイなどがダム上流側で生息確率を低下させることが分かった。また、魚道はサケマスなどの遊泳力の大きな魚類にとって機能するが、ハゼ科など遊泳力の小さな回遊魚には有効でないということが示唆された。 同じく北海道を調査対象地域として、河川の直線化による魚類生息環境の単純化(均質化)を評価する指標を開発し、その指標をいくつかの河川に応用した。これまで河川の平面形状を計る指標として、広く屈曲率が、また近年になってフラクタル次元やアングル(Andrle 1994)などが地形学の分野で用いられてきた。これらの指標に代わるものとしてエントロピーによる河川形状の複雑度指標を考案した。そしてこの指標を、釧路川と千歳川の2河川の大正・昭和30年代・50年代・平成という4つの時代での河川形状に適応して、河川形状の時代変化を定量化した。その結果、2つの河川とも時代とともに捷水路工事などによって河川が直線化され、複雑度が低下してきていることが明白になった。
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