2003 Fiscal Year Annual Research Report
残留性有機汚染物質の挙動とモニタリング指標に関する研究
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15510050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津野 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 平 京都大学, 工学研究科, 助手 (30346093)
山田 春美 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40089123)
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Keywords | ムラサキイガイ / 指標生物 / ポリ塩化ビフェニル(PCB) / 生物濃縮 / 濃縮係数 |
Research Abstract |
ムラサキイガイを指標生物としたPOPsモニタリング手法の開発を目的とし、本年度は2003年6月から12月までの間に大阪南港で採取した海水、懸濁物(SS)、ムラサキイガイを対象としPCBの濃度を測定し、各媒体間でのPCBの濃度変化や濃縮係数について解析を行った。ムラサキイガイは現場で採取したものだけでなくカゴに入れて飼育したものも用いることでムラサキイガイの生長とPCBの濃縮特性についても検討した。さらにムラサキイガイの部位別PCB濃度についても測定を行った。 海水、SS、ムラサキイガイ各試料のPCB同族体分布は海水で3塩素化体、ムラサキイガイで6塩素化体の占める割合が他試料よりも高く、SSはちょうどその中間の分布を示した。PCBの各異性体について濃縮係数を計算した結果、SSの水に対する濃縮係数は高塩素化のPCBほど高い値となる傾向が見られたのに対し、ムラサキイガイでは6塩素化、7塩素化PCBの一部と8塩素化PCBで濃縮係数が低くなる傾向にあり、ムラサキイガイには濃縮されにくいPCBが存在することが分かった。 ムラサキイガイの生長とPCBの濃縮特性に関しては、ムラサキイガイを殻長で分類しそれぞれのPCB濃度を測定した結果、殻長とPCB濃度に関して特に明確な関連は見られなかったため、ムラサキイガイは生長により濃縮特性はほとんど変わらないと考えられる。また、ムラサキイガイの部位別PCB濃度では内臓部が最も高く、他の部位の2倍程度蓄積することがわかった。海水およびSS中のPCB濃度は季節により若干変動し、夏場に低くなる傾向が見られた。一方ムラサキイガイにおいては総PCB濃度変化に関して海水と明確な関連は見られなかったものの、同族体別PCBの増加率、減少率では海水、SS試料と似た傾向が見られ、ムラサキイガイ中のPCB濃度は水質のPCB濃度を反映するであろうことが分かった。
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