2004 Fiscal Year Annual Research Report
残留性有機汚染物質の挙動とモニタリング指標に関する研究
Project/Area Number |
15510050
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
津野 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 春美 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40089123)
日高 平 京都大学, 工学研究科, 助手 (30346093)
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Keywords | ムラサキイガイ / 指標生物 / ポリ塩化ビフェニル(PCB) / 生物濃縮 / 濃縮係数 / 瀬戸内海沿岸 / 異性体 / 起源推定 |
Research Abstract |
PCBのような微量かつ難分解性の物質の評価法として、ムラサキイガイなどの指標生物を利用した生物モニタリングが有効とされており、その現場への適用とデータの有効な評価法の確立が期待されている。そこで、本研究では、瀬戸内海沿岸を対象として、海水ならびにムラサキイガイを採取して、含有するPCB濃度を測定する調査を行い、ムラサキイガイのPCB濃縮特性の把握および海水中PCB濃度測定におけるムラサキイガイの指標生物の適用に関する考察を目的とした。また、ムラサキイガイ用いたPCBモニタリング手法の瀬戸内海での適用性について考察するとともに、瀬戸内海におけるPCB濃度および組成分布の把握を試みた。その結果、ムラサキイガイ中のPCBは、総PCB、同族体および異性体の観点からも水質の濃度や組成を良く反映し、測定の容易さから、優れた生物指標として利用できることが明らかにされた。また、ムラサキイガイの貝殻の大きさによる濃縮特性への影響は考慮せずに評価しうることが明らかとなり、採取および前処理の容易さ、個体間の代表性の観点から、殻長が4.0cm前後のものを採取することが勧められる。瀬戸内海での本手法の適用性を検討した結果、瀬戸内海における広範囲の適用が可能であり、PCB濃度レベルとPCB組成を把握できることが示された。また、測定データを用いて主成分分析することにより、PCB発生源の起源推定が可能であることが示された。ムラサキイガイの体内PCB濃度や濃縮係数に対しては脂肪含量の影響が大きく、また、H7CBより高塩素化PCBでは分子の大きさによると考えられる取り込み阻害作用を受けていることが分かった。さらに、2,4,5位の塩素置換の構造を持つ異性体が濃縮されやすく、2,3,4,5位塩素置換の異性体はムラサキイガイ中に濃縮されにくいことが明らかになった。
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