2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体DNA二本鎖切断を指標とした微量放射線検出用生物線量計の開発と応用
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15510051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 裕夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20237275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
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Keywords | H2AX / SCIDマウス / 生物線量計 / 低線量放射線 / 低線量率放射線 / 蛍光抗体染色 / フローサイトメーター / ヒストン蛋白リン酸化 |
Research Abstract |
マウス臓器別のDNA二本鎖切断の可視的定量法確立 前年度の研究により、リン酸化H2AXに対する蛍光抗体を用いて、DNA二本鎖切断端に存在するリン酸化H2AXをin situハイブリダイゼーション法で特異的に蛍光シグナルとして線量依存的検出する方法を確立することが出来たので、本年度は、実際に放射線被曝動物(マウス)の臓器におけるDNA二本鎖切断の定量を試みた。 1.4Gy放射線照射されたSCIDマウスから肺、肝臓、腎臓、小腸、脳、筋肉、精巣を照射直後ならびに照射後1日目1週間目にそれぞれ剔出、凍結し、クリオスタット(マイルス三共社製)で凍結切片を作成し、前年度確立したDNA二本鎖切断の可視的定量法を応用して臓器組織別、部位別のDNA二本鎖切断量の定量を試みた。検出のための諸条件設定に苦慮したが、ほぼ好適な条件を設定することに成功した。 2.放射線被曝マウス(0〜4Gy)臓器組織中のDNA二本鎖切断が線量依存性を示すか調べた結果、小腸を除く全ての臓器において、細胞あたりの蛍光シグナル強度が直線的に増加することが観察され、生物線量計としてリン酸化H2AXを指標にすることの有用性が諸臓器でも確認された。また、小腸では、0〜4Gyの被曝線量でも、全く蛍光シグナルが検出されないという結果が得られ、他の臓器とは異なるDNA二本鎖切断の修復機構が示唆された。これは、今後の新たな研究課題となる発見であると考えられる。 3.フローサイトメーターでの測定法を確立するために、培養、染色等の処理工程が簡便な浮遊培養細胞株樹立のためにSCIDマウスに発症するリンパ腫の細胞を分離培養し、株化することを試みた。そして、細胞株の樹立に成功した。
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Research Products
(3 results)