2003 Fiscal Year Annual Research Report
窒素酸化物によって誘発されるDNA塩基損傷の突然変異発生機構とその修復機構の解明
Project/Area Number |
15510054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
寺東 宏明 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00243543)
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Keywords | オキザニン / 塩基損傷 / 脱アミノ化 / 付加体形成 / DNAグリコシラーゼ / 塩基除去修復 / ヒストン / ヌクレオチド除去修復 |
Research Abstract |
本年度は以下のような結果を得た。 (1)オキザニン付加体損傷の生成機構について(Nakano et al.,2003) オキザニン(Oxa)を部位特異的に含むオリゴヌクレオチドを合成し,DNA鎖中のOxaと生体分子との反応機構について検討した。5'端を^<32>Pラベルし,相補鎖とアニールした25merのOxa含有オリゴヌクレオチドを,種々のタンパク質と反応させ,付加体生成をゲルリターデーションアッセイで解析した。その結果,DNAグリコシラーゼであるFpg, hOGG1,AlkA, Endo VIIIで速い付加体形成が認められた(<60min)。一方,核内タンパク質であるヒストンとは遅い反応性を示した(>36h)。これは細胞内においても同様の付加体形成が生じることを示唆しており,実際HeLa細胞粗抽出液との反応でもシフトバンドが出現した。 (2)オキザニン付加体損傷の修復機構について(論文投稿中) Oxaのアミンとの反応性を考えると,細胞内では速やかに付加体を形成し,付加体損傷として認識されている可能性がある。そこで,Oxa付加体損傷を含む60merのオリゴヌクレオチドを基質として用いて,付加体損傷の修復に関与するヌクレオチド除去修復(NER)酵素の活性を検討した。付加体形成にはスペルミン(Sp)を用いた。このDNA基質とBacillus cardotenaxのUvrABCを反応させ,PAGE解析により,切断生成物を観察した。その結果,損傷から5'側7ntの部位で切断された生成物が検出され,Oxa-Sp付加体がUvrABCにより除去されることが分かった。その切断効率はフルオレセイン基質の〜50%であった。またUV照射によりSOS誘導をかけた大腸菌粗抽出液によっても切断バンドが検出された。このことはOxaが生体内で速やかに付加体損傷に変換し,NERにより除去,修復される可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)