2004 Fiscal Year Annual Research Report
窒素酸化物によって誘発されるDNA塩基損傷の突然変異発生機構とその修復機構の解明
Project/Area Number |
15510054
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺東 宏明 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00243543)
|
Keywords | オキザニン / 塩基損傷 / 脱アミノ化 / 付加体形成 / DNAグリコシラーゼ / 塩基除去修復 / ヌクレオチド除去修復 / 損傷乗り越え複製 |
Research Abstract |
1.窒素酸化物によって生じるグアニン脱アミノ生成物の複製エラー誘発活性(Nakano et al., Mutagenesis, in press) 窒素酸化物によって生じるグアニン脱アミノ生成物に対するDNAポリメラーゼの活性を検討した。大腸菌DNAポリメラーゼIに対し,キサンチン(Xan),オキザニン(Oxa),その二次的付加体損傷(Oxa-SP : Oxa-スペルミン複合体)を含んだオリゴDNAをテンプレートとしてDNA合成反応を行い,伸長活性および塩基対合性を検討した。伸長活性はG(1)>Oxa(0.19)>Xan(0.12)>AP(0.088)>Oxa-SP(0.035)であった(Gはグアニン,APは脱塩基部位)。挿入塩基対合性は,Xanに対しdTMP(16%),dGMP(14%),Oxaに対しdTMP(49%)で,Oxa-SPは極めて高い伸長阻害反応を示した(dAMP;13%)。以上の結果は,これらの損傷が高い頻度で複製エラーを誘発することを示している。 2.オキザニンおよびその付加体損傷に対する修復活性(Nakano et al., Nucleic Acids Res., in press) これまでの研究によりグアニン脱アミノ生成物のうちXanはAlkAにより修復されることが分かっているが(Terato et al.,2002),Oxaとその付加体損傷については不明のままであった。まず,大腸菌およびヒト由来の精製DNAグリコシラーゼおよびHeLa核抽出物のOxa除去活性を検討したところ,ほとんど活性が認められなかった。そこで精製UvrABC複合体およびHeLa核抽出物のOxa-SP含有基質に対する活性を検討したところ,ヌクレオチド除去修復(NER)活性が認められた。よって,Oxaは生体内で速やかに付加体損傷に変換し,NERによって修復されることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)