2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15510072
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
木村 正信 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (30108063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 善彦 岐阜大学, 大学院・連合農学研究科, 教授 (50021712)
肥後 睦輝 岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (80198994)
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Keywords | 環境材料 / 国土保全 / 生態系修復 / 木質廃棄物のリサイクル |
Research Abstract |
ダム建設や道路工事等で発生した大量の伐倒木廃材をチップ化して、緑化時の植物生育基盤材として吹付けた斜面を対象に植生調査を継続して実施し、立地環境と植生回復の関連性や基盤の理化学特性を考察した。その結果をまとめると、 1.緑化吹付け種子としてハギ類と外来性牧草類を併用した斜面では、吹付け後半年間程は植生回復が芳しくなく、植被率も50%未満であるが、その後はハギ類の生長が旺盛となり、牧草類は衰退傾向を示す。この理由として生育基盤である廃材チップに含まれる窒素成分の過少を挙げることが出来る。また、ハギ類は吹付け後5年程度までは良好な上伸および肥大生長を示すが、その後は種内競争によって淘汰が生じ、個体数密度が減少する。さらに、ハギ類特有のアレロパシー効果によって植生侵入が阻害され、単独の群落を形成しやすいことが判明した。 2.緑化吹付け種子として同じくマメ科植物のホワイトクローバーを使用した斜面では、木本類であるハギと異なり、比較的短期間の間に施工域全体を被覆するが、表層の乾湿の影響を受けやすく、パッチ状に衰退して裸地を形成することが判明した。草丈の低い植物であるために、地表付近での微気象の変化に敏感に反応すると考えられる。また、ハギ類と同様に旺盛な繁茂をするので、侵入植物の種数は相対的に少なく、速やかな植生遷移は極めて困難と考察される。 3.チップを緑化吹付け基材として使用することに関して、多様性に富む植物群落の形成を最終目標とするならば、マメ科植物を避けて耐性の高い先駆性植物を導入すべきである。また、従来の人工土壌に比べると乾燥しやすい性質であるため、施工斜面の方位や斜度を事前に考慮すべきであると考察された。 以上の研究成果を平成17年度日本緑化工学会大会とスイスのバーゼルで開催された第4回国際植生工学シンポジウムで発表した。
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Research Products
(2 results)