2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌が産生するチトクロームP450による内分泌撹乱化学物質の制御に関する研究
Project/Area Number |
15510074
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
井勝 久喜 吉備国際大学, 政策マネジメント学部, 教授 (10260663)
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Keywords | チトクロームP450 / 内分泌撹乱化学物質 / 微生物分解 / 2-エトキシフェノール / フタル酸 / 固定化菌体 |
Research Abstract |
2-ethoxyphenolを単一炭素源とした培地で環境土壌から分離したP450産生細菌Rhodococcus sp.strain EP1による内分泌撹乱化学物質分解について検討した。 昨年の研究で2-ethoxyphenolを共存させた培養において,EP1株が内分泌撹乱化学物質のうちフタル酸類を分解することを明らかとした。本年度は,EP1株が産生するP450がフタル酸類により誘導されるかどうかについて検討した。EP1株はフタル酸類を単一炭素源として増殖することはできなかった。また,グルコースを炭素源として培養したときにフタル酸類を添加してP450の産生を検討したが,P450の産生は見られなかった。EP1株のP450は2-ethoxyphenolと4-ethoxybenzoic acidで増殖した場合のみ産生されていたことから,EP1株はethoxy基を持つ物質が培地中に存在するときにP450を産生し,そのP450により内分泌撹乱化学物質が共代謝されていると考えられた。 有害有機化合物に対するEP1株無細胞抽出液による分解活性を検討した結果,1,1,1-trichloroethane, carbon tetrachloride, 1,3-dichloropropene, benzene, toluene, xyleneがEP1株無細胞抽出液で代謝された。EP1株は広範な基質と反応できるタイプのP450である可能性が示され,種々の内分泌撹乱化学物質を分解できる可能性が示された。 処理装置開発の基礎的検討として,菌体をポリビニルアルコールゲルに固定化し,その分解能力を検討した。今回は,固定化条件検討のため,ジクロロメタン分解菌Ralstonia metallidurans PD11株と1,3-ジクロロ-2-プロパノール分解菌Arthrobacter sp.PY1株の固定化を試みた。その結果,固定化菌体の作成には4ヶ月必要であることが明らかとなった。一方,固定化菌体は生菌体と同等以上の分解活性を有することが明らかとなり,処理装置開発へ応用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)