Research Abstract |
ボタン花,春ウコン根,マリーゴールド葉,青シソ種,タイサンボク,シャクヤク,オオバキボウシ,ドクダミ,ササクサ,オシロイバナなど28種類の植物乾燥粉末と食品産業廃棄物として処理されているオカラを天然資源由来の対象試料として用い,それらのカオリン懸濁液に対する凝集活性の有無を調べた.その結果,春ウコン根,青シソ種,オオバキボウシ,タイサンボクの4種類の植物乾燥粉末とオカラに比較的強い凝集活性が検出された.そのため,これらの5種に対して凝集活性のpH依存性などの基本的性質について検討した.これら5種を試料とした場合の凝集活性のpH依存性では,春ウコン,青シソ種,オオバキボウシの3種についてはpH3付近で最大凝集活性を示し,タイサンボクはpH2付近,オカラはpH4付近で最大凝集活性が検出された.いずれの試料でも酸性域で凝集活性が観察されたが中性域からアルカリ域ではほとんど凝集活性は観察されなかった.一方,試料の添加量が凝集活性に与える影響について調べたところ,添加試料とカオリン懸濁粒子の比が春ウコンでは,3:100の時,青シソ種では3:75の時.オオバキボウシとタイサンボク及びオカラの場合では,それぞれ7:50,11:50,3:75の時に最大凝集活性を示した。これらの試料は不純物を含んだ状態であるため凝集活性成分のみではさらに比率は広がるであろう。また,凝集活性成分の熱安定性について調べたところ,春ウコン根とオカラは沸騰水浴中1時間の加熱にもかかわらずほとんど凝集活性の低下は観察されなかったが,青シソ種,タイサンボク,オオバキボウシの3種は加熱時間の経過とともに凝集活性が低下した.従って,熱安定性においては,試料によって異なる挙動が観察され凝集活性に関与する成分が2種類以上ある可能性が示唆された.一方,凝集対象物質としてはカオリンの様な粘土質のものがあげられる.今後は凝集成分の特定およびさらなる高付加価値化を含めて検討したい.
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